生産財マーケティング・メルマガ 
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「顧客との継続的関係」

既存顧客や見込み顧客と関係性を継続するために、継続的に情報提供する必要があります。

 

情報提供媒体は様々あります。

営業パーソンが訪問して、業界情報や製品情報などを伝える方法、

メールやDMを定期的に送る方法、

SNS(Facebook、X、YouTubeなど)による情報発信、

業界紙・誌に広告を出す方法、など

 

取引が継続していれば良いですが、いったん中断した後に継続的に連絡を取っていないと、忘れられてしまうことがあります。

 

継続的に連絡を取ると言っても、何でもよいから情報を定期的に送るのでは、逆効果です。

 

たまには近況だけ送るのは良いでしょうが、毎回意味のない無駄情報を送られては、受け取る方にとっては時間の無駄になります。

 

受け手にとって役立つ情報は何かを、常に意識して情報発信することが、継続的関係のための情報提供の肝だと思います。

 

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「既存顧客の仮説課題・解決策を提案する その3」

顧客から依頼された課題ならば、スケジュールは決まっているため、顧客は商談にすぐ入るでしょう。

 

ところが潜在課題は、あまり緊急性を認識していないのが普通です。

 

こちらから提案した時に、「確かにそれは必要かもね」という反応があったら、鉄は熱いうちに打てです。

 

時間をおくと忘れられてしまいます。顧客の担当者に対して、すぐに次のアポイントを取るなり、何らかのアクションを取りましょう。顧客の優先度を上げてもらうのです。に調整していただく。

 

顧客側の担当者と上記を事前に擦り合わせて提案書を作成できれば、顧客の社内での上申がスムーズになるでしょう。

 

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「既存顧客の仮説課題・解決策を提案する その2」

顧客へ提案する要件は概ね以下のように考えると良いでしょう。

 

1.提案の目的・解決すべき課題

2.課題解決のゴール(どこまで目指すか)
課題解決した状態をイメージ化
課題が複数ある場合の優先順位

3.スケジュール

4.実施体制 当社側の実施体制と顧客に協力依頼する場合の依頼事項

5.予算
潜在課題(顧客が気づいていないまたは、緊急性を感じていなかった課題)では、顧客側で予算を取っていないため、当社側の見積をもとに調整していただく。

 

顧客側の担当者と上記を事前に擦り合わせて提案書を作成できれば、顧客の社内での上申がスムーズになるでしょう。

 

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「既存顧客の仮説課題・解決策を提案する その1」

顧客が課題解決のために、商品購入を決定したとします。みなさまはこの時点で課題が解決されたとお思いでしょうか。

 

いやいや、実際に使ってみて、あるいは消費してみてはじめて解決したかわかるのですね。もしかしたら、効果が出るまで導入して一定期間かかるかもしれません。

 

つまり、購入決定時点では、顧客は不確定な状態で判断せざるを得ないのです。

 

そこで、みなさまは実現性の証明をして、顧客の不安を払拭しなければなりません。そのためには、他社の事例や成功イメージの見える化、デモ機の貸し出しなども良い方法です。

 

顧客に購入後の未来の想定した理想状態を、イメージしてもらうことに提案のポイントを持っていきましょう。

 

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「既存顧客の仮説課題を見つける その4」

情報収集ツールとして、SNS(X(旧Twitter)、Facebook、YouTube、Instagram、)も有効です。

 

顧客の業界の展示会やイベントに参加するのも、顧客やその競合の生の情報を調査できるのでお勧めです。

 

顧客のホームページの閲覧では、会社案内や製品案内に注目が行きますが、意外に採用ページにも有益な情報があることがあります。

 

就職応募者向けに、会社の内部の実態などを紹介していることがあるのです。

 

当社は何を目指しているとか、どういう働き方をしているとか、先輩社員の生の声などを載せたりしていたりします。

 

そういうところから、会社のカラーや社員が大切にしていることなどをうかがい知れることがあり、営業活動にも役立ちます。

 

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「既存顧客の仮説課題を見つける その3」

顧客や業界の将来展望をリサーチする方法のひとつは、顧客だけでなく顧客の競合の有価証券報告書を参考にすることです。

 

有価証券報告書の中に【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】という項目があります。ここに、その企業が認識している環境や課題が記載されています。

 

顧客の競合の情報が顧客と共通していれば、業界共通認識と考えられます。異なることがあれば、その企業固有の認識または、他の企業が気づいていないことかもしれません。

 

顧客の競合が課題と認識していて、顧客が認識していなければ、それが潜在課題である可能性があります。

 

ターゲット顧客が上場企業などでない場合で、有価証券報告書を発行していなくても、同業他社の資料が大変役立つことには変わりありません。

 

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「既存顧客の仮説課題を見つける その2」

既存顧客の仮説課題を見つけるには、見込み顧客の課題を見つける時と同様に、先ずは業界を俯瞰して見ることです。

 

日々の仕事に追われていると、どうしても目先のことだけにとらわれがちです。時には、この業界全体の現状はどうか、将来どういう方向に行くのだろうかと見直してみることが必要です。

 

その上で、既存顧客の現状を見てみると、広い視野や少し先の状況を見渡すことができます。

 

今現在の課題も重要ですが、将来起こりうるかもしれない問題を考え、課題・解決策提案をすれば顧客に気づきを与えられるかもしれません。

 

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「既存顧客の仮説課題を見つける その1」

前回までは、新規顧客開拓のために、見込み顧客の課題を見つけるというテーマでお話ししてきました。

 

今回から、既存顧客の課題を考えてみたいと思います。

 

既存顧客なら、いつも会っている担当者に聞けば良いのでは、と言われるかもしれません。確かに信頼関係が築けていれば、教えてくれるでしょう。

 

それは一つの大事な方法であり、効果もあるでしょう。しかし、それだけだと単なる御用聞きで、競合も同様にやってきて激しい競争になりかねません。

 

既存顧客に対しても、仮説課題をぶつけてみることで、顧客も意識していなかった潜在課題につながる可能性があります。

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その9」

前回のメルマガで、『企画書は、応対している担当者だけでなく、社内の関係者に対しても「なるほど」と思ってもらうような提案にします。』とお伝えしました。このことについて、もう少し説明したいと思います。

 

顧客が企業や組織の場合、購買関係者は一人ではなく複数のメンバーからなります。さらにそのメンバーが所属する部署もそれぞれ異なり、各メンバーが認識する課題や要望は同じではありません。

 

例えば製造部門では、加工の容易さ、納期など、調達部門では価格、開発部門では機能・性能だったりします。

 

そのため、初回の提案書にも購買関係者グループに対して想定しうる要望と解決策を盛り込んでおくと、応対している担当者が社内に対して根回ししてくれやすくなります。

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その8」

仮説課題の提案の際には、口頭だけではなく、数枚でも良いので簡単な提案書として渡しましょう。そして、その仮説と解決策に納得性があるか確認します。

 

口頭だけだと、応対した担当者にしか伝わらず、上司やその他の関係者に正確に伝わるか疑問が残ります。

 

提案書に盛り込むものとして、現状認識、理想の状態、現状と理想のギャップ、解決すべき仮説課題、問題の原因、解決策などです。

 

見込み顧客から提案書の方向性に同意を得られたら、もう少し詳細な企画書を作成して詳細を詰めていきます。この企画書は、応対している担当者だけでなく、社内の関係者に対しても「なるほど」と思ってもらうような提案にします。

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その7」

仮説課題が見つかったら、解決策まで考えましょう。仮説課題が違っていたら、解決策なんて無意味じゃないと思われるかもしれません。

 

確かに違っていたら無駄になるでしょう。しかし、仮説課題が見込み顧客にピッタリだったら、解決策の提案はすぐに受け入れやすくなります。逆に課題は提示したけれど、「解決策はこれから考えます」ではがっかりされるでしょう。

 

いくつかある見込み顧客の仮説課題のうち提案するのは、もちろん自社の製品・サービスで解決できるものです。仮説課題と自社の強み・リソースのマッチングで解決策を作るので、自社の分析もしっかりしておきましょう。

 

そして、単にこれを使えば解決できますという結論だけでなく、その根拠や事例を説明し納得を得られるように理論構築しましょう。

 

また導入に当たっての手順、必要な条件など顧客の立場に立った不安・心配の解消も必要です。

 

それから、提案した仮説課題が違っていても、その見込み顧客向けにしっかり考えた提案なら、見込み顧客も「そこまで考えてくれるのか」と思って、いろいろな社内情報を教えてくれる可能性が高くなります。それをもとに再度提案すればよいのです。

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その6」

仮説課題を考える時に、現在の課題と将来の課題の2つの見方があります。今実際に起こっている問題に対する課題が前者です。将来起こりうる問題に対する課題が後者です。

 

前者の場合は、見込み顧客が気づいていることが多いけれども、もし気づいていなければすぐに刺さる可能性は高いでしょう。

 

一方、将来起こりうる問題は、見込み顧客が重大視していない可能性も高いため、すぐに何とかしようと考えないかもしれません。とりわけ現場の担当者にはその傾向が強いでしょう。

 

仮説課題・解決策提案は、誰にどんな提案をするかも考慮した方が良いでしょう。直近の課題については、現場の担当者に対してが、また、中期的な課題については、経営層に対してが興味を持たれやすいと言えます。

 

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その5」

見込み顧客の分析の後は、自社と競合分析です。どういう分析をするのかというと、自社や競合が属する業界の動向を調べてみましょう。情報入手しやすいものとして、業界団体のホームページがあります。

 

見込み顧客分析と同様に、大きな枠組みから俯瞰します。業界によって情報の種類や量に差がありますが、過去からの推移や業界全体の課題や今後の動向など参考になる情報を入手できます。

 

また、Chat GPTなどの生成AIに業界動向を聞いてみるのも手段の1つです。その場合は、出典まで辿って正しい内容かを確認する必要があります。

 

そのようにして収集した情報をPEST(Politics(政治) Economy(経済) Society(社会) Technology(技術))というフレームワークで整理するとわかりやすくなります。

 

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その4」

有価証券報告書は情報の宝庫ですが、上場企業に限られます。その他の企業は、ホームページや新聞・雑誌・ネットの記事などから、主に情報収集することになります。

 

どんな情報を入手するのかというと、

(1)見込み顧客の情報
(2)見込み顧客の顧客の情報
(3)見込み顧客の競合の情報

 

見込み顧客自体の状況を調べるのは当然ですが、見込み顧客の顧客は誰で、どんなニーズがあり、どう変化していくだろうかの情報収集は不可欠です。それが消費者であれば消費者動向ですし、企業ならばその先の企業や消費者の動向も関係します。

 

B to Bでは目の前の顧客が最終顧客ではなく、その先にも自社商品の鍵を握る顧客がいるという意識が重要です。

 

また、見込み顧客の競合はどこで、見込み顧客とどう違うのかということも押さえておきたいところです。

 

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その3」

見込み顧客の業界動向を把握したら、見込み顧客の状況を調べます。上場企業であれば、有価証券報告書を参考にしない手はありません。

 

その中でも特に以下の項目に有益な情報が記載されています。

企業の概況 

    1.主要な経営指標等の推移

    2.沿革

    3.事業の内容

    4.関係会社の状況

    5.従業員の状況

事業の状況

    1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

  2.事業等のリスク

    3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

    4.経営上の重要な契約等

    5.研究開発活動

経理の状況

  貸借対照表(財政状態計算書<IFRS>)、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書

 

企業の概況や事業の状況には、企業やそれぞれの事業の外部環境や内部環境や今後の見通しなどが説明されています。また、課題やリスクの記載から何に対処すべきかを読み取れます。

 

経理の状況から、企業業績を知ることができます。有価証券報告書では2期分の記載なので、他にホームページに業績の推移があれば成長度合いがわかります。

 

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その2」

見込み顧客の「仮説課題」を見つけましょうと言うと、いきなり課題は何だろうと考える人がいます。そうすると、思いつきや決めつけとなり、全く的外れになりかねません。

 

はじめは俯瞰して広い分野から見ることが重要です。見込み顧客が属する業界の動向を調べてみましょう。情報入手しやすいものとして、業界団体のホームページがあります。

 

業界によって情報の種類や量に差がありますが、過去からの推移や業界全体の課題など参考になる情報を入手できます。

 

また、Chat GPTなどの生成AIに業界動向を聞いてみるのも手段の1つです。その場合は、出典まで辿って正しい内容かを確認する必要があります。

 

そのようにして収集した情報をPSET(Politics(政治) Society(社会) Economy(経済) Technology(技術))というフレームワークで整理するとわかりやすくなります。

 

 

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「見込み顧客の仮説課題を見つける その1」

新規顧客開拓で取引したい顧客が見つかったとします。その顧客にどうアプローチしたらよいでしょうか。

 

最初から自社商品・サービスを紹介するのは良い方法とは言えません。見込み顧客からすれば、単なる売り込みだと思われてしまうからです。

 

先ずは、見込み顧客がどんな課題を抱えているかを見つけることです。とは言え、はじめて訪問していきなり「御社の課題は何でしょうか?」と聞いても、初対面の人に答えてくれるはずはありません。信頼関係ができて、はじめて聞き出せることだからです。

 

そのため、事前に顧客リサーチして、これが課題ではないだろうかという当たりをつけた「仮説課題」を見つけることが先決です。

 

 

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「企業向けのサービスその5」

サービスは顧客との関係強化にも大きな役割を果たします。

 

製品の不具合やスタッフのミスなどでクレームを受けることがあるかもしれません。そのようなときの対応の仕方によって、ますます悪化させてしまうこともあれば、逆にリカバリーしてより信頼を高めることもあります。クレームは嫌だなと思わず、チャンスに変えるという意識が重要です。

 

また、サービスを継続的に改善をして、顧客満足度を高めることで関係強化を図ることができます。サービスに携わるスタッフは、顧客と密なコミュニケーションが取りやすいです。

 

サービススタッフは、決められたサービスを行うだけでなく、顧客の要望を聞くことを心がけるように社員教育しましょう。それを自社の製品・サービスにフィードバックすれば、より顧客との信頼関係が増します。

 

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「企業向けのサービスその4」

 製品サポートサービス(製品に付随するサービス)には、製品購入に関する相談、製品使用法のトレーニング、保守、消耗品、流通・配送、使用法の問い合わせ対応などがあります。

 

これらのサービスの中には、そのサービス自体が収益になるもの(有料の製品トレーニング、有料の保守サービス、消耗品など)があります。

 

それに対して、サービス自体は一般的に無料(製品購入に関する相談、使用法の問い合わせ対応、無料のトレーニング・保守など)もあります。売り手にとっては、これらは付け足しとかおまけという意識になっていないでしょうか。

 

無料サービスだからといっても、顧客から見ると製品の一部であると考えています。そのため、製品ハード部分がいくら良くても、ソフトのサービスに不満があると全体の満足度は大きく下がってしまいます。

 

ハード優位な企業もサービスについて、顧客対応に課題がないかを見直してみるのも良いかもしれません。

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「企業向けのサービスその3」

製品の場合は、購入前に店頭やデモルームなどで実物を確認する機会があります。一方、サービスは形がないため、購入してサービスを受けてから評価することになります。

 

買い手はそのリスクを緩和するため、実績や既存顧客の評判・口コミなどに頼ることが多いのです。

 

買い手が評価する要素として、以下のようなものがあります。

 

スキル:スタッフの技能・知識

共感性:顧客の立場になって考える態度

信頼性:契約通りの納期、サービス内容

迅速性:迅速な対応

見える化:サービスの内容を写真・図や書面でわかりやすく表現

 

サービスは製品比較して、品質の標準化が容易ではありません。サービス品質を担保するためには、スタッフの教育、マニュアル化、サービスの自動化などが求められます。

 

一方で、サービスには柔軟性があるため、個々の顧客に対するカスタマイズによって満足度を高めることもできます。そのためには、顧客を理解し要望を汲み取るマインドをつける体制を構築することです。

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「企業向けのサービスその2」

サービスと製品を比較すると、一般的に以下のような違いがあります。

 

サービスは形がないが、製品には形がある。 サービスは提供と同時に消費されるが、製品は生産と消費の間に時間差がある。 サービスは保存ができないが、製品は保存ができる。 サービスは所有がでないが、製品は所有できる。 品質ではサービスはバラツキが大きいが、製品は標準化できる。 サービスは個別対応が容易だが、製品は難しい。

 

上記のような違いがあるため、サービスに対応したマーケティング手法が必要になります。

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「企業向けのサービス」

近年は、製造業よりもサービス業の伸びが著しい傾向にあります。一般的に、製造業よりも設備投資額が抑えられること、ICT活用により新しいサービスがどんどん生まれていることが要因です。

 

サービスは大別して、製品サポートサービス(製品に付随するサービス)と純粋サービス(製品とは関係ないサービス)の2つがあります。

 

製品サポートサービスには、製品購入に関する相談、製品使用法のトレーニング、保守、消耗品、流通・配送、使用法の問い合わせ対応などがあります。

 

純粋サービスには、保険、金融、人材派遣、コンサルティング、輸送、市場調査、情報技術管理、警備保障、旅行手配があり、その他にも分野は増えています。

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「製品市場マトリックスその5」

今日は「アンゾフの製品市場マトリックス」(下記)

1) 既存市場X既存製品・サービス=市場深耕
2) 新規市場X既存製品・サービス=市場開拓
3) 既存市場X新規製品・サービス=製品・サービス開発
4) 新規市場X新規製品・サービス=多角化

の4つ目の「多角化」についてお話しします。

 

多角化は新規市場に新規製品を導入するビジネスモデルです。これまでの3つに比べて難易度は高い領域になりますが、既存市場、既存製品頼みの経営からのリスク分散という側面もあります。

 

新規と言っても、既存技術を活用した新製品開発(例:富士フイルムの写真のナノ技術(微粒子)を応用した化粧品)は、製品開発の失敗のリスクを低減できます。市場は全くの新規なので、市場調査は十分に行う必要があります。

 

既存市場と類似した市場に、新製品・新事業で参入する(例:電子部品メーカーがプリント基板メーカーに販売するビジネスから、プリント基板まで製造してPCメーカーに販売するビジネスに参入)は、サプライチェーンの下流に進出するモデルです。

 

既存市場や既存製品と全く関連性がない分野へ進出する場合は、失敗のリスクがかなり高いため、自社の強み・弱み、市場のニーズ、競合など十分に分析する必要があります。

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「製品市場マトリックスその4」

今日は「アンゾフの製品市場マトリックス」(下記)

1) 既存市場X既存製品・サービス=市場深耕
2) 新規市場X既存製品・サービス=市場開拓
3) 既存市場X新規製品・サービス=製品・サービス開発
4) 新規市場X新規製品・サービス=多角化

 の3つ目の「製品・サービス開発」についてお話しします。

「製品・サービス開発」は既存市場向けに、新製品・新サービスを投入するというものです。

B to Bでは新製品を2分類する必要があります。1つ目は顧客企業向けの設備機械などの完成品、2つ目は部品・原材料など顧客の製品に組み込まれるものです。

 

設備機械などの完成品は開発の自由度が高いので、顧客のニーズを見据えて画期的な製品開発も行いやすくなります。

 

一方、部品・原材料などは顧客の設計、開発、需要状況による制限があるため、その範囲内での改善になりがちです。

 

但し、顧客の新製品向けの部品・原材料なら、顧客との仕様打合せ段階で自社の特長を発揮させることは可能でしょう。

 

設備機械などの完成品にしても、部品・原材料にしても、いずれ陳腐化していくので、売上げが好調な間に、次の新製品開発の準備はしておく必要があります。

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「製品市場マトリックスその3」

今日は前回の予告を変更して「アンゾフの製品市場マトリックス」(下記)

 

1) 既存市場X既存製品・サービス=市場深耕
2) 新規市場X既存製品・サービス=市場開拓
3) 既存市場X新規製品・サービス=製品・サービス開発
4) 新規市場X新規製品・サービス=多角化

 

の2つ目の「市場開拓」のつづきについてお話しします。もう少し深掘りした方が良いと思ったからです。

 

前回は市場全体を分析しましょうとお話ししました。次に個別の見込み客について調べます。森を見てから木を見るです。

 

見込み客(以下A社とする)について、その業界の課題・ニーズを踏まえて、ホームページやA社に関する記事などを調査するとよいです。A社の課題の仮説を考えるためです。

 

A社を訪問したときに、業界の課題・ニーズを踏まえて、「御社の課題は何ですか?」と聞いてみればよいのでは?と思われるかもしれません。

 

しかし、競合他社も業界調査は行うから、これでは競合他社と同じ問いかけになります。さらに、取引のない会社に自社の課題を話すことはないでしょう。

 

A社のホームページなどでどんな会社かを調べるのは普通です。そこから踏み込んで、A社の課題は何だろうと推論し仮説を立て、その仮説課題の解決策の提案を考えるところまで踏み込むと面談に深みが増します。

 

初めての会社なのに仮説を立てる必要がある?と思われるかもしれません。仮説が間違っていたら?とも思われるでしょう。

 

ここで、逆の立場(見込み客)になってみてください。業界の課題・ニーズとA社の概要程度は知っていて、「御社の課題を教えてください。」と聞く会社と、「御社のホームページを始め資料を調べて、私なりに御社の課題を考えてみましたが、どうお考えでしょうか」と聞く会社を比べてみてください。

 

とちらに好感を持って、深い話をしたいと思うでしょうか。後者の場合、仮に仮説が間違っていたとしても、実は当社の課題はそこではなく、○○だよと教えてくれる確率が高くなります。

 

前者の場合は、本音を言ってくれることはほとんどなく、後者の場合はその後の商談進展につながりやすくなるでしょう。

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「製品市場マトリックスその2」

今日は「アンゾフの製品市場マトリックス」(下記)

 

1) 既存市場X既存製品・サービス=市場深耕
2) 新規市場X既存製品・サービス=市場開拓
3) 既存市場X新規製品・サービス=製品・サービス開発
4) 新規市場X新規製品・サービス=多角化

 

の2つ目の「市場開発」についてお話しします。

 

これは既存製品で新規市場を開拓するというものです。B to Bでの新規市場は、既存顧客と異なる業種・業態と考えます。

 

市場開拓する場合、いきなり個別の見込み客に当たるのではなく、その市場全体を分析することから始めると良いでしょう。

 

市場規模、市場の成長性、競合状況、参入障壁、業界の課題・ニーズ、自社とのマッチング度合いなどで参入すべき市場か判断します。

 

参入するとなったら、既存製品が既存市場で提供してきた価値が、その市場でも求められるか否かを調査します。

 

求められるものであれば、これまでの手法がほぼ同じように使えるでしょう。

 

そうでない場合は、既存製品で別のどういう価値があり、それにより市場のニーズを満たせるかを検討します。

 

このように、市場全体をリサーチしてから個別見込み客に当たる方が、見込み客を理解しやすく、相手も「よく調べているな」と認めてくれます。

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「製品市場マトリックス」

企業の成長の方向性を考えるフレームワークのひとつに、「アンゾフの製品市場マトリックス」というものがあります。新規市場を開拓するのか、新製品・新サービスを開発するのかを検討するのに役立つツールです。

 縦軸に市場、横軸に製品・サービスをとり、それぞれに新規と既存に分けると、2✕2の4つの枠ができます。

 
1) 既存市場X既存製品・サービス=市場深耕
2) 新規市場X既存製品・サービス=市場開拓
3) 既存市場X新規製品・サービス=製品・サービス開発
4) 新規市場X新規製品・サービス=多角化

 1) の場合、既存市場へ既存製品の販売なので、既存顧客への販売増か類似の顧客を開拓することになります。

 

既存顧客については、顧客の製品生産量に応じて注文量が決まるため、こちらの思い通りにはいきません。但し、既存製品が違う用途に使えれば、需要拡大は見込めます。

また、自社で扱う別の製品を既存顧客に紹介することは有益です。組織が製品別になっているため、ある顧客にA製品は販売しているが、B製品は紹介したことすらないというケースはよくあります。

 

類似の顧客開拓では、同じようなニーズを持っていることが多いので、過去の事例・実績が役立ちます。事例集や顧客の声をまとめておくと良いでしょう。

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「なぜマーケティングを学ぶのか」

B to Bビジネスでは、マスメディアを使った大規模な広告で多くの消費者にPRするのとは異なり、一般に少ない顧客数に限られています。

 

そのため、個別の顧客にアプローチするためのセールスに重点が置かれる傾向にあったと言えるでしょう。

 

一般的なB to C的なマーケティングでは、広告・宣伝や市場調査で消費者に知らせ、いかに購買に結びつけるかというイメージがあると思います。

 

しかし、B to Bマーケティングでは、これまでお伝えしてきたとおり短期的な売上だけ追求するのではなく、顧客との信頼関係を築き継続的な取引を構築する目的が大きいのです。

 

そのためには、ビジネスを俯瞰的に眺めるのに必要なB to Bマーケティング思考が欠かせません。マーケティングは販売だけでなく、全社の業務に関わります。

 

製品・サービスの理解、顧客ニーズの把握、競合他社との競争戦略、コミュニケーションスキル、分析能力のような幅広い能力を磨くために、マーケティングを学ぶことは企業の中・長期戦略にとって極めて重要なのです。

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「B to Bマーケティングを取り入れるには」

これまで営業はやっているが、マーケティングは考えたことがないというB to B企業は多いと思います。過去は取引先が安定していたので、それでも問題なかったと言えるでしょう。

 

環境が激変している現在では、目先の売上を追求する営業だけでは企業存続に影響を与えかねません。マーケティングは、先を見据えて全体を俯瞰する視点を与えてくれます。

 

マーケティングを取り入れるには、短期志向から中・長期志向経営に切り替えることです。マーケティング5Pは企業活動全体に関わることです。そのため、マーケティングはマーケティング部門や営業だけでなく、全社員がマーケティング思考的行動を取れることが理想です

 

社員一人ひとりにマーケティングの感覚が浸透して、さらに学ぼうという環境を作り上げることができれば、強靱な組織になるでしょう。

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「マーケティング・ミックス5P Personal Selling 営業(人的販売)」

マーケティング・ミックス4Pに追加されたPersonal Selling の中身を見ていきましょう。

 

5)Personal Selling 営業(人的販売)

 マーケティングをよくご存じの方は、人的販売はPromotion(販促)に含まれるのではと言われると思います。確かにB to Cではそれで良いでしょう。

 

しかし、B to Bでは、Personal Sellingの比重がB to Cに比べて圧倒的に大きいので、別個に取り上げて検討します。

 

B to B商材は、スーパーやコンビニなどの店舗に陳列して販売されるものではなく、営業パーソンが企業を訪問して販売するのが一般的です。

 

B to Cとの特徴的な違いをいくつか挙げると

・衝動買いがほとんどなく、購入までに時間(期間)がかかる。

・単発の購買より継続的な取引になることが多い。

・購買に関わる人の人数が多く、多くの部署にわたる。

・購買目的が明確である。

 

上記の特徴のため、広告・宣伝や店頭販売などでは不足で、人による関係性構築やちょっとした機微(サイン)を感じ取るなどが大きく影響します。

 

営業パーソンの役割は、既存商品・サービスを販売するだけではありません。顧客のニーズ(顕在・潜在課題)発見、顧客の購買構造・プロセスの把握、継続取引に値する自社の信頼性の伝達、業界情報の収集などマーケティングリサーチも担うという意識が必要です。

 

また、顧客側もWEBや新聞・雑誌などからでは得られない情報を営業パーソンから仕入れることができるというのも、人的交流ならではのことです。

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「マーケティング・ミックス5P Promotion 販売促進」

マーケティング・ミックス5PのうちPromotionの中身をB to CとB to Bを比較しながら見ていきましょう。

 

4)Promotion 販売促進

 顧客に商品・サービスを知ってもらい、需要を喚起する活動がPromotionです。広告、パブリシティ(新聞・雑誌・テレビなどに記事や番組で取り上げてもらうこと)、口コミ、人的販売(対面による商品説明)、販売促進(サンプル配布、ノベルティ、イベント、POP、展示会など)

 

広告はテレビ、新聞、雑誌の他、Web広告やSNSを活用して消費者と双方向のコミュニケーションを取る手法も利用されています。最近では、消費者はネットで検索して商品を調べたり、評判を確認した上で購入する傾向があります。

 

 

B to Bでは、消費者向けではないので(ビジネス番組を除いて)マスコミでの広告はあまり使われません。

 

商品・サービスの紹介だけでなく、顧客に役立つ情報提供を重ねていき信頼感を醸成することも重要です。一般的にB to Bでは一過性の取引ではなく、継続的な取引になることが多いからです。

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「マーケティング・ミックス5P Price 価格、Place 流通」

マーケティング・ミックス5PのうちPriceとPlaceの中身をB to CとB to Bを比較しながら見ていきましょう。

 

2)Price 価格

価格を設定する要素として、生産コスト、競合他社の価格、需要と供給のバランス、ブランド力、希少性などが考慮されます。

 

 B to Bの場合上記に加えて、支払条件、スイッチングコスト(他社製品に乗り換えるコスト)の大小も関係します。また、サービス、製品+サービスの場合顧客ごとに異なりかつ独自の価値を付加すれば、競合他社との差別化が図れます。

 

3)Place 流通

B to CにおけるPlaceは、企業が商品を販売する場所・経路を指します。販売チャネルは、小売店、オンラインストア、卸売業者、直販などが含まれます。

 

B to Bでは、販売チャネルとして直販と代理店が多く、その区分けが検討対象になります。迅速な納品が大きな付加価値になることもあるため、運送を含めた効率的な納期管理も重要です。

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「マーケティング・ミックス5P Product 製品」

マーケティング・ミックス5PのうちProductの中身をB to CとB to Bを比較しながら見ていきましょう。

 

1)Product 製品

 B to Cでは、機能、品質、サービス、デザイン、商品名、製品保証、パッケージなどの要素を検討します。商品名やパッケージも売れ行きに大きく影響します。

 

B to Bでは商品名やパッケージの重要度は低く、機能や品質の重要度が高くなります。顧客の課題解決に役立つ機能、品質を備えているかがポイントです。顧客がどんな課題を解決したがっているのかをつかむ必要があります。

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「マーケティング・ミックス5P」

マーケティング・ミックスは通常は4Pとして語られます。しかし、B to Bの取引では、以下でお話しする5Pの方が実態に合っています。

 

5Pとは一般的な4P

Product 製品

Price 価格

Place 流通

Promotion 販促

に加えて

Personal Selling 営業(人的販売)

 

特にB to Cでは、販売(営業)とマーケティングは分けて考えられることが多いのですが、人が主体となって販売するB to Bでは、一体として活動する方がずっと効果的です。

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「STP分析」

STP分析とは、市場を細分化(Segmentationセグメンテーション)し、どの顧客層を対象(Targetingターゲティング)とし、自社や商品・サービスを顧客にどう認識(Positioningポジショニング)してもらうかを分析するフレームワークです。

 

STP分析するに当たって、まず、既存商品・サービスが、どの企業の、どんな課題を、どのように解決するのかを把握し、言語化しましょう。それによって、STP分析の効果が高まります。

 

セグメンテーション:

B to Cは消費者を対象にし、B to Bは法人を対象にするため、セグメンテーションの切り口は異なります。B to Bでは、企業規模、業種、所在地、購買動機、顧客の悩み(課題)、購買頻度、購買方法、品質・価格の要求度合いなどです。

 

ターゲティング:

細分化した市場のうち、自社にとって魅力的な市場をひとつまたは複数選択します。ここでは、競合の状況・市場規模・収益性・将来性も加味します。

 

ポジショニング:

B to Cに比べてB to Bでは商品・サービスだけでなく、それを提供する企業がどういう企業かということにも関心が高いのが特徴です。B to B取引は継続的に取引する傾向が強いため、信頼できる企業か、安定供給可能かという視点でも評価されます。商品・サービスが顧客からどう認識されたいかと共に、自社が顧客からどう見られるかを社員で共有しておきましょう。

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「客観的な分析」

環境分析はマーケティングを行う上で前提となるものです。この分析が妥当でないと、それ以降のマーケティング・ステップが間違った方向性を進みかねません。

 

だからといって、時間をかけすぎて重箱の隅を楊枝でほじくるようなことをすれば正しい分析ができるかと言えばそんなことはありません。

 

ネックになるかもしれないのは、社内の人だけの目ではバイアス(先入観、偏見)つまり、ものの見方に偏りが生じる恐れがあることです。同じ組織にいると考え方が似てくる傾向にあり、それが普通と認識されるようになります。

 

その見方が基になった分析だと、分析そのものに偏りが生じる可能性があります。

 

客観的な分析方法のひとつとして、外部の目を入れるという手があります。社外の視点で見ると、こういう見え方もあるのかという発見や示唆が得られ、視野が広がります。

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「ミクロ環境分析」

ミクロ環境分析は、企業が市場において直接的に関わる外部からの影響を評価し、企業戦略や意思決定に影響を与える重要なプロセスです。この分析で有益なフレームワークは、5フォース分析です。

 

5フォース分析:企業に直接影響を与える5つの競争要因(既存の競合企業同士の競争、買い手(顧客)の交渉力、サプライヤーの交渉力、代替品の脅威、新規参入者の脅威)が業界の構造を決めます。

 

これら5つの競争要因の影響が強ければ強いほど、収益に対する圧力が高まります。そのため、それぞれの競争要因を分析して、より適切な対応を取る必要があります。それでは、どのような要因があるのかを見ていきましょう。

 

既存の競合企業同士の競争:

既存の競合企業同士の競争が激しいほど、収益性は低下します。価格競争に陥る要因として、競合企業が乱立している、業界の成長が鈍化している、撤退障壁が高い、製品・サービスの差別化がつけにくいなどです。

 

買い手(顧客)の交渉力:

大手企業など強力な買い手や、業界にとっての顧客数が相対的に少ない場合は、値下げ圧力が高まります。また、差別化されていない、買い手の製品・サービスの中に占める原価割合が高い、買い手の製品・サービスの質に影響を及ぼさないような場合も買い手の交渉力が高まります。

 

サプライヤーの交渉力:

PCにおけるマイクロソフトやインテルなどの強力なサプライヤーは、高い価格や有利な条件を要求してきます。サプライヤーの数が相対的に少ない場合、スイッチングコスト(他社に乗り換えるためのコスト)が高い、差別化(特殊な供給品など)されているなど場合はサプライヤーの交渉力が高まります。

 

代替品の脅威:

既存の製品・サービスと同じ基本的ニーズを異なる方法で満たす製品・サービスの登場による脅威です。直接の競合ではないため、予想外の場所から現れ、予測がつけにくく、気づくのも遅れがちになります。代替品のコストパフォーマンスが高いか、スイッチングコストが低いかなどが乗り換えの評価になります。

 

新規参入者の脅威:

参入障壁が低いと競合企業が増えやすくなります。参入障壁として、スイッチングコスト、顧客にとってのネットワーク効果(利用者が増えるにつれ製品・サービスの価値が高まる)、資本投資、独占的な技術、高いブランド価値、流通チャネルとの結びつき、政府の規制などがあります。

 

これら5つの競争要因を自社に当てはめて分析することで、より有利なポジションを築く戦略を考えるプロセスになります。

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「マクロ環境分析」

マクロ環境分析は、外部環境の要因を評価し、企業戦略や意思決定に影響を与える重要なプロセスです。この分析は以下のステップによって行われます。

 

PEST分析: マクロ環境要因を理解するための一般的なフレームワークです。PESTは、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の略で、それぞれの分野における変化や動向を調査します。

 

政治的要因: 政府の政策や規制、法律の変更がビジネスに影響を与える可能性があります。例えば、輸出入規制の変更や税制改革、業界の規制などが挙げられます。

 

経済的要因: マクロ経済指標(GDP、インフレ率、失業率など)や市場の景気動向を評価します。これによって需要予測や価格設定に関する戦略が決定されます。

 

社会文化的要因: 人々の価値観、ライフスタイルの変化、人口動態の変化などが含まれます。これによって顧客の嗜好や市場トレンドを把握し、製品やサービスの適切な位置づけが可能となります。

 

技術的要因: 技術革新や業界の新たなトレンドに対する適応能力が求められます。新技術の導入が競争優位性を生み出す可能性があります。

 

マクロ環境分析はビジネス戦略の土台を築くために不可欠であり、適切な戦略の策定やリスク管理に役立ちます。

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「マーケティングの分析順序」

前回、マーケティングの大きな枠組みは以下のようになるとお話ししました。

 

(1)環境分析
(2)STP
(3)4P
(4)マーケティング実行のマネジメント

 

先ずは、この番号順に進めますが、必要に応じて行きつ戻りつもあります。分析を進めていき製品化の候補が挙がったけれども、コスト面や材料調達面から実現が難しいなどという場合があります。

 

そのようなときは、前段階に戻って検討し直すことも必要になります。要はあまり形式的にならずに、柔軟に考えましょう。

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「マーケティングの全体像」

前回はセールスとマーケティングの比較をしました。セールスは短期的な視点で「今売るためにどうするか」に対して、マーケティングは顧客ニーズを出発点にして、「売れる仕組みづくり」を焦点とし長期的な販売を促進すること、ということでした。

 

そこでマーケティングに取り組むには、まず全体像を知ることが必要です。大きな枠組みでは以下のようになります。

 

環境分析 STP 4P マーケティング実行のマネジメント

 

環境分析は、自社を取り巻く環境で、大きな視点のマクロ環境と直接の関係を見るミクロ環境を分析します。 STPは、S(Segmentation)細分化、T(Targeting)ターゲティング、P(Positioning)ポジショニングです。潜在顧客をある基準で分類して、そのどこを対象顧客とし、その顧客に自社商品・ザービスをどう認識してもらうかを決めるプロセスです。 4Pは、Product製品(商品・サービス)、Price価格、Place流通、Promotion販売促進です。顧客が求める商品・サービスを、いくらで、どのような販売チャネル(販売ルート)で、どう知ってもらい購入に繋げるかを決めるプロセスです。 マーケティング実行のマネジメントは、上記のプロセスを実行するために、どんな計画で、どこにどのくらい予算をつけ、どういう組織で実行するかです。

 

この全体像は、B to BでもB to Cでも基本的には変わりませんが、中身はB to B特有の考え方があります。

 

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「セールスとマーケティングの違い」

セールスは、お客様を説得し、既存商品やサービスの特徴や利点を強調して販売を促進すること。売り手主導のアプローチであり、その焦点は短期的な視点で「今売るためにどうするか」にあります。

 

一方、マーケティングは顧客ニーズを出発点にして、「売れる仕組みづくり」を焦点とする考え方です。顧客のニーズや欲求を理解し、それに合った商品やサービスを提供することを重視します。マーケティングは市場調査や顧客分析を行い、顧客が求める価値を提供することで、長期的な販売を促進します。

 

そのために、市場を設定して、その市場にフィットしたさまざまな企業活動を作り上げる全社的活動がマーケティングであると言えます。

 

マーケティングとは何かと質問すると、広告宣伝です、とか、市場調査です、とかいう答えが多いのですが、もっと広い概念なのですね。

 

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「記憶に焼き付く要素」

スタンフォード大学の「記憶に焼き付くアイデアづくり」講座での話しです。学生が1分間スピーチをして、スピーチが終わるごとに聴き手が発表者を評価します。すると、高得点を取るのは決まって話術に長けた発表者です。

 

その後、課題と全く関係のないコメディの短編動画を数分間見せ、学生の気をまぎらわせます。そして、いきなり紙を出して、発表者のアイデアの中で覚えているものをできるだけ沢山書き出しなさいと指示されます。

 

学生は自分がほとんど覚えていないことに愕然とするそうです。発表が終わって、まだ10分しか経っていないのに。1分間スピーチをせいぜい8回ほど聞いただけなのに、覚えているのはせいぜい1つか2つだけ。

 

学生はスピーチの中で統計は使いますが、物語を語るのは10人に1人。ところが、発表内容の思い出しでは、63%が物語を思い出し、統計を思い出したのは5%にすぎませんでした。

 

「話術の才能」でも、魅力的なスピーチをした学生も、そうでない学生もアイデアを記憶に焼き付ける能力には、ほとんど差はありませんでした。

 

アイデアを多くの人の記憶に焼き付けたのは、物語を使って証明したり、感情に訴えたり、10のことを言わずに1点だけを強調した学生でした。

 

話術に長けた人の話しが記憶に残らない原因のひとつは、大量の情報の中に核となるものを埋没させてしまうことです。知識が豊富な人は、どうしても全部伝えたいと思ってしまうのです。

 

もう一つの原因は、メッセージよりもプレゼンテーションを重視する傾向です。スタンフォード大学の例にもあるように、記憶に焼き付く要素にはプレゼン能力はほとんど影響がないのです。

情報量が多く総花的なスピーチでは、どんなカリスマ的なスピーチも役に立ちません。

 

あなたが、セミナーを受講した時を思い出してください。情報量がふんだんに盛り込まれ、統計や資料が豊富なセミナーは受講直後では、もの凄く得したようで満足感も高いと思います。しかし、1週間後にその内容を覚えていて実践しているでしょうか。

 

単に話しを聞いて良かったと思う程度ならそれでも良いですが、ビジネスに活かそうとするなら後まで記憶に焼き付いて、行動に結びつかなければ意味がありません。受講直後の高い評価が必ずしも効果があるとは限らないという、このような落とし穴にも気をつける必要があります。

 

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「物語性」

「アイデアのちから」による成功するアイデアの6原則の原則6が「物語性」です。物語の効用はよく語られていますが、具体的にはどんな効果があるのでしょうか?

 

教訓をもたらす物語では、注意点を箇条書きで示されるよりもずっと記憶に残りやすくなります。本書では医療現場の事例で、医療機械の測定数値だけを信頼せず、過去の経験とアナログ的な診察の重要性を物語を通して紹介しています。

 

また、シミュレーションも物語の一種と考えられます。頭の中でシミュレーションするとうまくいくと言われます。出来事や経緯を思い描くと、実際に活動していたときと同じ脳の部位が呼び覚まされるからです。頭の中でシミュレーションを行うと、つい見落としがちな点にも気づきやすくなります。

 

物語は行動を生み出すために、励ましを与えてもくれます。励ましを与える物語には、三種類の基本的な筋書きがあります。「挑戦」、「絆」、「創造性」の3つです。

 

人が圧倒的な障害に直面し、それに打ち勝つ物語が「挑戦」。他人との関係で、共感、愛、協力などにまつわる物語が「絆」。革新的な方法で問題に取り組む物語が「創造性」。

 

このような物語を自分で一から創作する必要はなく、上記の視点で探せば周りには使える素材や事例はいくらでもあります。ぜひ探してみてください。

 

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「感情に訴える」

「アイデアのちから」による成功するアイデアの6原則の原則5が「感情に訴える」です。感情に訴えることは、同じことを論理的に説明することより記憶に残りやすいことは、あなたもよく経験していることでしょう。

 

感情に訴える方法はいくつかあります。そのひとつは、「大勢ではなく個人を対象にする」です。例えば、

(1)アフリカでは300万人の人が飢饉に直面しています。

(2)ロキアはアフリカのマリに住む7歳の少女。極貧生活を送り、深刻な飢えに脅かされています。

この2つを比べて、あなたはどちらに感情を動かされるでしょうか。

 

ケーブルテレビの勧誘文の比較をしてみましょう。

ケーブルテレビは加入者に幅広い娯楽情報サービスを提供します。ケーブルテレビを使いこなせば、加入者はさまざまな特別番組や特集を計画的に楽しむことができます。 想像してみてください。ケーブルテレビがあなたにどれほど幅広い娯楽情報サービスを提供することでしょう。あなたはケーブルテレビを使いこなすことで、自分の見たい特集や特別番組を事前に計画できます。

内容はほとんど変わりませんが、「想像してみてください」と「あなた」を使うことで、読者にその状況をイメージさせる効果があります。

 

「感情に訴える」方法はマーケティング的に、消費者対象だけでなく、企業向けにも応用できることはあると思います。あなたも是非考えてみてください。

 

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「信頼性がある」

「アイデアのちから」による成功するアイデアの6原則の原則4が「信頼性がある」です。信頼性があることによって、人からそのアイデアに支持が得られやすくなります。

 

信頼を得るにはどうすればよいでしょうか。ひとつは、「権威」を感じさせるものがあることです。有名な組織や専門家の推薦や有名タレントが使っているなどがあれば信じやすくなります。

 

また、詳細を語ることも有効です。具体的な詳細な描写は、専門知識に似た効果を発揮します。詳細さは、アイデアに具体性と実感を与えて現実味を増し、より信じやすくするのです。

 

その他にも、検証可能な信頼性というのもあります。新商品の試食、試供品、お試し体験などです。

 

このように、信頼性を得られる方法はいくつかありますが、ケースバイケースで、ある方法は効果があるが別の方法は効果がないということもあるので、その時に応じて試してみることも必要です。

 

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「具体的である」

「アイデアのちから」による成功するアイデアの6原則の原則3が「具体的である」です。抽象的だとアイデアの理解や記憶が難しくなります。同じ抽象的表現でも、人によって全く違う解釈をすることがあるからです。

 

具体的だとこういう問題は避けられます。具体的にするにはどうすればよいでしょうか。それは五感で感じ取れるようにする、表現するという方法があります。

 

ソニーのトランジスタラジオ開発で、「極限的に小さいラジオ」というと抽象的ですが、「ポケットに入るラジオ」というと自分がポケットに手を入れたくなるような具体性を感じさせますね。

 

自動車の開発でも、外形だけの形状をモックアップとして作ることがよくあります。これも言葉だけで説明するより、はるかにイメージしやすいからです。

  

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「意外性がある」

「アイデアのちから」による成功するアイデアの6原則の原則2が「意外性がある」です。どうやって関心をつかむかと、どうやって関心をつなぎとめるかがポイントです。驚きは関心をつかみ、興味は関心をつなぎとめます。

 

驚きは予想外のことに直面した時に起こる現象です。意外性のあるアイデアが記憶に焼き付きやすいのは、驚きが注意を喚起し、考えさせるからです。

 

興味は面白いことを気にかけるということで、さらに知らないことや面白いことをもっと知りたいという欲求が好奇心です。そして、好奇心が生じるのは、自分の知識に隙間を感じたときです。

 

観客の興味を惹く映画は、物語で疑問を提示し、状況を曖昧なままに進行します。「隙間理論」では隙間を埋める前には、隙間を作る必要があるというのです。

 

ソニーのトランジスタラジオを開発するに当たって、井深大は「ポケットに入るラジオ」を開発しようと提案しました。当時のラジオは大きな真空管を使っていて、家具のひとつで工場には家具職人も雇われていたそうです。

 

ソニーの技術者は、最初に完成したトランジスタラジオは、ポケットサイズには程遠かったのですが、「ポケットに入るラジオ」というアイデアがなければ、そこでやめていたかもしれません。その意表をつくアイデアによって、4年間開発が持続したのです。

  

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「単純明快である」

「単純明快である」とは、アイデアの核となる部分を見極めるということです。アイデアから余分なもの、本質とは関係のないものを取り除き、一番大切な本質をむき出しにします。

 

例えば、アメリカの優良な航空会社のサウスウエスト航空でCEOを長く務めたハーブ・ケレハーは「当社は最安航空会社である」と伝えています。これは下記の経営手法に現れています。

・「ファーストクラスがない」

・「座席指定がない」

・「機内食がない」

・「航空券がない」

・「VIPラウンジがない」

・「制服がない」

・「清掃員がいない」

・「事故がない 」

 

この経営手法は、一見、顧客への提供価値まで削減されているように感じられます。しかし、サウスウエスト航空は上記のようなサービスではなく、従業員の親しみやすくホスピタリティにあふれた対応によって、十分なほどに顧客に満足感を提供しているのです。

  

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「知の呪縛」

前回の「アイデアのちから」で成功するアイデアの6原則を挙げました。この原則が必要な大前提が「知の呪縛」というものです。

 

「知の呪縛」とは、いったん何かを知ってしまったら、それを知らない状態がどんなものか、うまく想像できなくなるというものです。自分の知識を他人と共有するのは難しいという状態を指しています。

 

ある知識を自分は知っていて相手は知らない、という場合にその情報のギャップのためにコミュニケーションがうまくいかないことが多々あります。その解消方法として6原則が導きだされました。

 

次回から、6原則についてお話ししていきます。

  

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アイデアは思いつきだけではダメ

以前ご紹介した「アイデアのつくり方」(https://mngt-sys.com/mailmagazine#section-69)でも思いつきから育てることを勧めています。そこで、成功するアイデアの6原則を説いているのが「アイデアのちから」という本です。2008年初版ですが、いまだに平積みされている書店もあります。

 

6つの原則とは、

原則1 単純明快である

原則2 意外性がある

原則3 具体的である

原則4 信頼性がある

原則5 感情に訴える

原則6 物語性がある

 

これらを英単語で表現すると(Simple Unexpected Concrete Credentialed Emotional Story)となり、頭文字を取ると SUCCESs (成功)となります。こじつけ感はありますが、この6つは納得いくのではないでしょうか。次回からもう少しこのお話を続けます。

  

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定型を柔軟に変える

料理のレシピ本の調理手順に、中火で3分炒めるとか15分煮るなどと書かれていることが多いですね。私も料理もするので、それを参考にしたりしています。

 

ところが、ある料理人は自分の本には、「時間」は書かないそうです。なぜなら、鍋やフライパンの熱さ、深さ、材質、素材の状態はそれぞれ違うので、時間も一律にはならないからだと言うのです。

確かに、時間通り調理しても生焼けだったり、煮すぎたりすることがあります。

 

そのため、素材の状態をチェックして確かめる方法(竹串を刺してみるなど)を書いているとのことです。

 

これは、ビジネスでも共通すると思いました。ビジネスでも定石のような手法があります。例えば、財務分析手法、SWOT分析などは定番の分析手法ですが、企業分析でそれらをいきなり始めたりする人がいます。

 

定番の分析手法だから使うという発想ではなく、現実をよく観てどうなれば良いのか、そのためにはどういう手法が必要かを自分で考えることが大切ではないでしょうか。

  

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近未来AIの役割のひとつ

ビジネスに限りませんが、組織や個人の暗黙知(明確に言葉にできない知識・ノウハウ)をどのように継承するかは課題ですね。ベテランの経験や智慧は貴重なものですが、退職すると次の代にうまく引き継がれないこともあります。

 

この暗黙知を形式知(知識・ノウハウを言葉や図で明示的に表現できるもの)に変換する役割を近い将来AIが果たせると期待されます。

 

ChatGPTをはじめとする言語生成AIや画像生成AIは、いろいろな情報を統合・編集して、人間がわかりやすいような文章や画像に変換する機能があります。

 

この機能がもっと発展していくと、組織内での断片的な情報(言葉や図面など)をAIがうまく組み合わせて、暗黙知だったものが形式知として表現するようになるのも遠くないことでしょう。

 

もちろん組織固有の知的財産とする場合には、クローズドのAI利用になるのでしょう。AIを組み込んだアプリケーションの開発は急速に進んでいるので、今後の動向に目が離せませんね。

  

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ChatGPTをマーケティングに使う

以前にもご紹介したChatGPTは、このところ毎日のようにTVでニュースやワイドショーにも取り上げられているほど話題になっていますね。

 

AI専門家が仕組みや使い方を説明したり、YouTubeでも玉石混淆ですが、さまざまな活用方法を紹介したりしています。

 

私もいろいろ使ってみていますが、仕事がかなり効率的になるという印象を持っています。

 

例えば、BtoBマーケティングの方法について聞いてみると、体系立てたかなりまともな「たたき台」が返ってきます。さらに、深掘りして聞いていくと、より多くの情報を提供してくれるという具合です。

 

これを自分で最初から作成しようとすると、相当の時間がかかります。さらに、そんな視点もあるねという気づきを得られることもあります。

 

このように、便利なツールですが、まともな内容か、間違った内容か、こちらの意図に添った内容かの検証は必要です。聞きたいことの基礎知識がない人が使うと、ChatGPTの返答を鵜吞みにしてしまいかねません。

 

これからは、知識不要で必要なことはAIが教えてくれるというのではなく、基礎知識は持った上でうまく活用していくということでしょう。

  

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未顧客を顧客に

HafH(ハフ)という旅のサブスクというサービスがあります。毎月定額を支払い、全国1000以上の厳選されたホテルに宿泊できるというものです。毎月金額の範囲内での宿泊もできるし、何ヶ月かためて高級なホテルに宿泊することもできます。

 

会員の中には、これまで旅行はあまりしなかったが、出不精を解消するために会員になったという人もいます。使わなければ損するので、外出し宿泊することを後押ししてくれると評価していました。この種の人は、これまでホテルから見ると顧客にはならないと思われていたのです。

 

これまでなかった視点から、商品やサービスを構築し直してみると、顧客にならないと思われた人・企業が顧客になることもあり得ます。あなたの法人向けビジネスでも応用できることはありませんか?

 

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フォローアップで継続顧客に

B to Bビジネスでも商品・サービスの種類によっては、継続的ではなく単発の取引になることもあります。例えば、設備・機械装置などは、原材料や消耗品のように定期的にリピート注文が来るものではありません。

 

当面の間は次の注文が来ないと見込んだとしても、顧客のフォローアップの仕組みは整えましょう。例えば、顧客リストの整備、購入後のお礼の連絡、その後の定期的な情報提供(商品の売り込みより役立つ情報の割合を多く)を行うなどです。

 

このようにして、顧客とつながっておくことで、次に顧客が購入検討する時に真っ先に頭に浮かんでもらうようにしておくことが重要です。過去に購入したから候補になるのは当たり前と思うのは、残念ながら甘い考えかもしれません。

 

以前のことは意外に忘れていたり、担当者が変わって記録も残っていないこともあり得ます。定期的に連絡を取っていれば、思い出してくれます。そして、新規顧客開拓するより、はるかに少ない労力・コストで受注できます。

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マーケティング・プロセス

マーケティング・プロセスとはマーケティングの一連の流れのことです。以下の6つの要素から構成されています。

 

環境分析 自社を取り巻く環境と市場機会を分析する。 セグメンテーション(市場細分化) その市場を潜在顧客のニーズや特性によって細かく分類する。 ターゲティング(市場絞り込み) 自社の強みを生かせるセグメントに絞り込む。 ポジショニング 潜在顧客に自社商品が価値あるものと認識してもらうように位置付ける。 マーケティング・ミックス マーケティングの施策を、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の4Pで考える。 実行と評価 実行の結果どれだけ成果に結びついたかを評価し改善する。

 

上記のプロセスが、一般的によく使われます。B to Cのような消費者向けのマーケティングでは、大変有効なプロセスです。

 

生産財のような法人向けの場合は、当てはまる場合ともっと簡略化できる場合とに分かれます。当てはまる場合は、商品が汎用品で顧客層が幅広いケースです。この場合は、セグメンテーションで潜在顧客を分類して、どのセグメントを狙うかを絞り込む必要があるでしょう。

 

もっと簡略化できる場合は、商品が特殊で市場が始めから絞り込まれているケースです。この場合は、セグメンテーションやターゲティングはほぼ必要なくて、対象顧客が明確になっています。

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バリューチェーンで業務プロセスを価値分析する

バリューチェーンとは企業活動を、原材料の仕入から製造、顧客への販売、アフターサービスまでを段階的に分解して競争力のある活動を分析するフレームワークです。

 

バリューチェーンは主活動と支援活動に分かれます。企業活動のプロセスは、業種や企業ごとに異なりますが、一例を挙げれば

 

主活動

購買物流: 原材料の仕入、保管

製造: 製品に加工するプロセス、機械のメンテナンスや検査工程も含む

出荷物流: 製品を顧客に届けるプロセス、製品の保管、梱包、輸送も含む

マーケティング・販売: 製品のネーミングや価格を設定、顧客への告知、購買手段を提供、広告・宣伝活動

アフターサービス: 顧客フォローのための活動、販売後の導入支援、クレーム処理、修理・交換部品

 

支援活動

調達活動: 社外からモノ・サービスを調達・購入するプロセス

技術開発: 製品の設計や開発

人事・労務管理: 従業員の採用、給与、福利厚生

全般管理: 経営企画、財務管理

 

上記の業務プロセスは、企業の組織図の部署とは必ずしも一致しません。

分析することは、どのプロセスがどんな価値を生んでいて、競合より価値が高いのはどのプロセスかです。それによって、競合と比較して何が強みで、その根拠は何かが明らかになります。

 


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いきなりのSWOT分析はNG

自社分析にしても、顧客分析にしても、環境分析しましょうと言うと、真っ先にSWOT分析を始めることはないでしょうか。でも、これはあまりお勧めしません。

 

なぜなら、SWOTだけでは曖昧になりがちだからです。最初からA社の強み・弱み・機会・脅威を出してみましょうというと、思いつくものを何項目か出して、それぞれ箇条書きにして完了したとなっていませんか。

 

思いつくものだけだと抜け漏れが出て、重要な情報が抜けてしまう恐れがあります。抜け漏れがないようにするためには、以前お話しした外部環境のPESTや5フォース分析、内部環境ではこれからお伝えしていくフレームワークを使うのが有効です。

 

フレームワークはどのように使うかまで知らないと効果を発揮しないどころか、方向性を誤ることもあります。SWOTは他のフレームワークで分析したことを、強み・弱み・機会・脅威に整理するツールだと位置付けましょう。


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顧客の内部環境分析

顧客を取り巻く外部環境分析に続いて、顧客の内部環境分析を行いましょう。先ずは、顧客がどんなことを大切にしているかを知ることです。企業によって表現方法は異なりますが、経営理念、ミッション、パーパス、ビジョン、価値観、行動指針などが一般的です。

 

これらの言葉の定義は、人によって微妙に違いますが、ざっくり言うと

経営理念、ミッション、パーパスは、企業の存在意義・どのように社会に貢献するかを表します。

ビジョンは、将来の理想的な姿で目指すべき方向性を示します。

価値観、行動指針は、何に価値を認めるかという考え方と、それに沿ってどう行動するかを示し、ミッションやビジョンを達成する基盤となります。

 

これらが社員に浸透している会社であれば、ものづくり・サービス、販売、仕入などもその方針に従って実行されているはずです。そのため、顧客の企業としての基本姿勢を把握するのが第一歩となります。


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Chat GPTのインパクト

前回の外部環境分析に関連するYouTube動画「サプライチェーン全体像をつかもう」を投稿しました。わかりやすく図解していますので、ご覧ください。

https://youtu.be/1WzoDbkgl70

 

最近大きな話題となっているのが、Chat GPTですね。ご存じの方も多いと思いますが、簡単に紹介してみますね。

 

Chat GPTは、テキストメッセージを入力すると、それに応じた答えを返してくれるAIです。簡単な質問だけではなく、文章の要約や、小説や詩の創作、英文の翻訳など、さまざまなことに使えます。

 

ビジネスの分野において特に期待されているのは、議事録・レポートの作成や、文章の要約、文章のチェック・校正、プログラミングなど、ホワイトカラーが日々実施している業務への活用です。

 

他にもできることは沢山ありますが、最初に驚くのが「検索」です。従来は、Google検索で検索したいワードを入力すると、それに関連するWebサイトのリストが表示され、その中のサイトを開いて内容を読むという手間をかけていました。

 

Chat GPTでは、「○○を教えて」と入力すると、○○についての説明をダイレクトに答えてくれるので、大幅に手間が省けます。しかも、Microsoft Bingならば、引用したサイト先も表示されるので、その答えの妥当性も検証することができます。

 

作成される文章は構成が論理的で、表現も人間が書いたかのように違和感はほとんどありません。Microsoft365にも搭載されるので、Word、Excel、PowerPointの使い勝手も格段に良くなるでしょう。

 

こうなると、これまでやっていた仕事も任せられる部分が多くなるので、人間は何をするのかが問われるようになります。今のところ、Chat GPTでは、「なるほど確かにそうだよね」と思える常識的な回答には極めて優れています。

 

そのため、人間には常識を超えた発想、一般的でない個別状況を深掘りしたことなどネットには載らないようなことを極めていくことが求められるでしょう。今後はこれを組み込んだサービスが次々と出てきて、ビジネスのプロセスが大きく変わると予想されます。


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顧客の外部環境分析(5フォース分析)

前回の外部環境分析に関連するYouTube動画「サプライチェーン全体像をつかもう」を投稿しました。わかりやすく図解していますので、ご覧ください。

https://youtu.be/1WzoDbkgl70

 

今回は、顧客の外部環境分析を掘り下げてみましょう。2つのフレームワーク(PESTと5フォース分析)が有効です。PESTについては、以前ご紹介していますので下記をご参照ください。

https://mngt-sys.com/mailmagazine#section-109

 

5フォース分析とは、企業を取り巻く5つの要因を示したものです。5つの要因とは、既存競争者同士の競争、新規参入者の脅威、代替品(サービス)の脅威、顧客(買い手)の交渉力、仕入先(売り手)の交渉力です。

 

サプライチェーン全体像やPESTよりも、より顧客に直接影響を与える要因です。

5つの要因について見てみると、(顧客の立場で分析するので、以下、自社=顧客、顧客=顧客の顧客と読み替えてください)

 

競合他社の脅威:業界内で既に活動している競合企業との競争の激しさや影響力です。競争が激しいほど、収益性は低下しやすくなります。

 

代替品の脅威:業界外から提供される、自社の商品やサービスと同じニーズを満たすものです。代替品が多く存在するほど、顧客は自社から離れやすくなります。

 

新規参入者の脅威:業界に新たに参入する可能性のある企業です。新規参入者が多くなるほど、市場シェアや収益性は減少しやすくなります。

 

買い手の交渉力:自社の商品やサービスを購入する顧客(買い手)の影響力です。買い手が少数であったり、価格に敏感であったりすると、自社は価格を下げざるを得なくなります。

 

売り手の交渉力:自社が商品やサービスを提供するために必要な資源(原材料・人材・技術等)を供給する仕入先(売り手)の影響力です。売り手が少数であったり、独占的であったりすると、自社はコストを上げざるを得なくなります。

 

自社分析とは違って、十分な情報は取れないと思いますので、代替品や自社との競合先は別ですがそれ以外の仕入先など分からない場合はかまいません。

 

この分析によって、顧客を取り巻く状況を把握し、自社の適切な戦略を立てやすくなります。


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顧客の外部環境分析

顧客の外部環境分析では、最初に俯瞰して見ましょう。顧客の直接の売り手、買い手、競合だけでなく、最終製品のメーカーや消費者の動向まで分析することで深みが増します。

 

サプライヤーが供給している製品(原材料・部品等)のほとんどは、消費者向けの最終製品に組み込まれて販売されるからです。消費者への売れ行きによって、サプライヤーの製品の需要が影響を受けるのです。

 

仕入先についても、直接の仕入先だけでなく、その先をたどれるだけたどって知っておく方が安心できます。自然災害や紛争などで、大本の供給先が影響を受けることを早めに察知出来れば迅速に対応できます。


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顧客の環境分析

生産財マーケティングでは、顧客の組織的な取引が特徴ですとお話ししてきました。そして、顧客を理解することが最も重要です。

 

顧客を理解するためにはどうすれば良いでしょうか。そのための手段は、自社の戦略や事業計画を立案するのと同じ方法を、顧客に適用すれば良いのです。つまり、顧客の立場になって、自社分析をするつもりで顧客分析をするのです。

 

大枠では、外部環境分析→内部環境分析の流れで、顧客を取り巻く環境と、それに対して顧客はどう対応しようとしているのかを見極めます。その上で、具体的な設備投資や材料・部品・サービス購買計画を予測・対応します。


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顧客の購買行動・個人の要因

生産財の購買について、これまで組織や購買センターによる要因について見てきました。しかし、決定を下すのは、個々の人間という個人です。

 

個人に焦点を当てると、立場による判断基準があります。購買対象物のユーザー、エンジニア・開発、購買部門、顧客の営業・マーケティング部門の立場での判断基準はそれぞれ

・ユーザー:迅速な納品、使いやすさ(製造機械など)、加工しやすさ(材料・部品など)、効率的なサービス

・エンジニア・開発:製品の品質、標準化、メンテナンスのしやすさ

・購買部門:価格競争力、経済的なロジスティクス

・営業・マーケティング部門:購買対象物を組み込む(または導入する)ことによる自社製品の付加価値

 

サプライヤーは、顧客にプレゼンテーションするときに、どの立場の人向けなのかを意識して、それにマッチした内容にする必要があります。

 

もう一つやっかいなのが、立場とは関係ない個人の特性です。

人間は、合理性だけでなく、過去の経験や信念に基づいて判断や受け入れする傾向があります。また、自分のニーズや価値観、意向に一致するものだけに反応しがちになります。

 

このように、かなり複雑な組織顧客にうまく対応するには、顧客をよく知ることに尽きます。


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顧客の購買行動・購買センターの要因

生産財の購買については、購買担当者だけで決めるのではありません。購買対象となるモノ・サービスに関わる人たちが関与します。購買対象物によって変わりますが、製造部、開発部、購買部、マーケティング部、サービス部、経営トップなどさまざまな部門の人たちが加わります。

 

これらの購買決定に関与する集団を「購買センター」と呼びます。購買センターは、購買対象物によって構成員が変わるので、固定したものではなく、組織図に載るようなものでもありません。

 

サプライヤーとして押さえておきたいことは、

・購買意思決定に参加するのは、どの部門の誰か。

・その参加者は、どういう判断基準をもっているか。

・その参加者は購買意思決定にどの程度影響力があるか。

・購買意思決定のキーパーソンは誰か(一人とは限らない)。

 

上記のように、関与者がそれぞれどういう課題を認識していて、どうしたいのかを見極めて対応する必要があります。そのため、購買担当者とだけ交渉していては、真のニーズはつかめません。

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顧客の購買行動・組織の要因

顧客の購買行動を組織の要因から考える場合、顧客がどういう目標に向かって、どんな課題を優先するのかが重要です。そのためには、顧客を取り巻く環境(顧客の顧客、最終購買者の消費者、競合企業、業界動向、PEST)を知ることです。

 

また、顧客のSWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析も有効です。このように、顧客の内外環境分析によって、サプライヤーに何を求めるのかが早い段階で推測できるようになります。

 

大企業との取引では、本社で一元発注か、工場など拠点ごとに分散発注か、という発注形式にも注意しましょう。一般的に、一元発注になると長期的取引、分散発注では短期的取引の傾向があります。


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顧客の購買行動・環境の要因(技術要因)

顧客の業界が技術革新の影響を受ければ、サプライヤーもそれに対応する必要があります。自動車業界のEV化は典型的な例です。

 

エンジン自動車すべてがEVに取って代わるとは言えませんが、かなりの割合でエンジンの部品需要は減退していくのは避けられません。このような製品が主力の企業にとっては、大打撃になります。

 

かといって、明日からEV用の部品を作ります、というわけにはいきません。技術の蓄積、製品化には、それなりの期間がかかります。日々の注文だけを気にしていて、先を読んで動かないと手遅れになるのです。

 

需要の動向と並んで、技術の動向(技術革新)にも気を配っていきましょう。顧客がどういう技術分野に興味を持っているのか、直接の顧客の先の顧客の顧客はどうか、ということまで調査すれば方向性を読み取ることができるでしょう。

ここでも、鳥の目と魚の目が必要ですね。


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顧客の購買行動・環境の要因

顧客が購買を検討する際に、どんなことが影響するでしょうか。さまざまな要因がありますが、今日は「環境の要因」について考えてみましょう。

 

部品や原材料を企業に販売していたとしても、その顧客がそれを使って製品にして消費者に販売しますね。または、その顧客の製品も部品で、さらに先の顧客が消費者向け製品を製造する場合もあるでしょう。

 

このように、先をたどっていくと最終購買者は消費者にたどり着きます。いやいや、工場の設備・機械は消費者とは関係ないだろうと思いますよね。

 

確かに直接関係はしませんが、その工場が製造している製品は最終的には消費者へ届けられるのです。

 

もうおわかりだと思いますが、たとえ直接の顧客が企業だとしても、最終的に消費者の動向に影響を受けるということなのです。サプライチェーンの川下の消費者の動向が、川上のサプライヤーに大いに関係するので、目先の顧客企業だけに着目していては、今しか見ていないことになります。

 

B to Bだからといっても、消費者の動向(どんなことに関心を持って、どういう方向に向こうとしているのか)を鳥の目と魚の目で観察することが求められます。B to Cマーケティングのように虫の目で見る必要はありませんが、大きく捕らえる見方は持っておきましょう。


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納入後のサプライヤーの評価

首尾良く顧客から選定されたら、品質、納期などを注文通りに納入します。納入した後のことも重要です。売りっぱなしではいけません。顧客は納入後のサプライヤーを評価しています。

 

納入後に要求されたパフォーマンスを発揮しているか、不具合や不満なところはないか、ということを訪問したり、問い合わせたりしてチェックしましょう。顧客からクレームがなくても、定期的に連絡を取りましょう。このようなことの積み重ねが、顧客の信頼を深めることにつながります。

 

リピートオーダーの時に、納入した製品のパフォーマンスが十分で、サプライヤーの対応もしっかりしていれば、入札なしでまたは最優先順位で候補に挙げられるでしょう。


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顧客の購買プロセスーサプライヤーの選定

サプライヤー候補を絞り込む条件(各部門からのニーズ)によって、絞り込まれた中から発注企業を選定します。選定するに当たっては、単発で発注するものか、継続的な取引になるのかによって選定基準が変わります。

 

単発で発注するものならば、製品・サービスだけの比較でより良い方を選択します。一方、継続的な取引になる場合は、製品・サービスの比較だけでなく、その企業自体の比較も行われます。信頼性、安定供給性、技術力、対応力など企業の基本姿勢・行動力も考慮の対象になります。

 

製品・サービスの紹介だけでなく、日頃から「当社はこういう考え方で経営している、こういう活動をしている」ということを発信することが重要です。

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顧客の購買プロセスーサプライヤーの探索

サプライヤー候補を絞り込む条件(各部門からのニーズ)によって、絞り込まれた中から発注企業を選定します。選定するに当たっては、単発で発注するものか、継続的な取引になるのかによって選定基準が変わります。

 

単発で発注するものならば、製品・サービスだけの比較でより良い方を選択します。一方、継続的な取引になる場合は、製品・サービスの比較だけでなく、その企業自体の比較も行われます。信頼性、安定供給性、技術力、対応力など企業の基本姿勢・行動力も考慮の対象になります。

 

製品・サービスの紹介だけでなく、日頃から「当社はこういう考え方で経営している、こういう活動をしている」ということを発信することが重要です。

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顧客の購買プロセスー解決策の探索

顧客が課題を認識したら、次は解決策を探します。その手段として、社内の知見、インターネット情報、業界紙・誌、セミナー、同業者の話、取引先からの情報、展示会での情報収集、専門家のアドバイスなどがあります。

 

買い手は解決策探索のために、上記の手段で情報収集をします。継続的な取引関係があれば、売り手のサプライヤーにもアドバイスを求めてくるかもしれません。いや、むしろそうなっているべきです。

 

あなたの製品・サービスに関する分野では、あなたがエキスパートであり、販売者ではなく助言者であり伴走者であるという意識を持ちたいものです。そして、自社製品・サービスだけでなく、それ以上に顧客についての関心を深めましょう。そうなれば顧客にとって唯一無二の存在になり得ます。

 

今年最後の配信となりましたが、特別な内容ではなく、これまでの継続として淡々と少しずつお役に立てれば良いかなと思っております。今年もお読みいただきありがとうございました。

来年良い年になりますようお祈りしております。

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顧客の購買プロセス

顧客が新規に購買計画を立てるときには、概ね次のようなプロセスになります。

(1)問題と課題の認識
(2)解決策の探索
(3)サプライヤーの探索
(4)サプライヤーの選定
(5)注文内容決定
(6)納品後のサプライヤーの評価

 

「問題と課題の認識」では、内部要因と外部要因があります。内部要因は、例えば、新製品を開発するために従来とは異なる部品が必要になるなどです。外部要因は、既存の部品よりも耐久性とコストが圧倒的に優れているものを、別のサプライヤーから提案されたなどです。

 

外部要因の場合は、顧客自身は気づいていなかったことで、サプライヤーの顧客調査力が商談を生むことにつながります。最初に提案して、それが適切な提案ならば、その購買の第1候補になる可能性が高まります。

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QCDSのバランスが大切

製造業の方ならQCDはご存じでしょう。

Q(Quality)品質

C(Cost)コスト

D(Delivery)納期

ですが、Sは何でしょう?

S(Service)サービス です。

 

これらの要素は、トレード・オフ(一方を立てると他方は立たない)の関係にあります。例えば、高品質にしようとすれば、価格は上がり、納期は延びます。

 

そのため、何を重視し、何を容認できるかを、市場や顧客ごとに細かく把握することが必要です。良いものを作れば売れるというのは幻想で、いいものの認識が作り手と買い手では違います。

 

そして、今はサービスが重視される時代です。ものづくり企業でも、販売した後のフォローアップをしっかりすることが継続的な取引につながります。

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顧客向けのメイン資料は?

新規見込み客とアポイントが取れて、打合せができるようになったとします。その時にどんな話しをしますか?

 

自社製品・サービスの紹介をしますか? それとも、「現在どんなことにお困りですか?」と尋ねますか?

まず、いきなり製品・サービスの紹介をしても、必要性を感じていなければ聞いてもらえません。

 

困りごとを聞くのは良さそうですが、初めて会う人に自社の内情をすらすらと話してもらえないでしょう。信頼性が構築されていないからです。

 

ではどうしたらよいでしょうか。前回と前々回にお話しした、顧客の業界の課題と自社製品・サービスでどう解決できるかを話すのです。すると、相手は自分ごとと思ってじっくり話しを聞いてくれる確率が高まります。

 

そのための顧客向けの資料は、課題とその解決策をまとめた資料がメインで、自社製品・サービスカタログは補足資料の扱いにしましょう。


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競合と○○の比較をしよう

製品・サービスのプロモーションでよく使われるのが、競合製品・サービスとの比較表です。ソフトウェアなどでよく目にするのが、機能の比較表です。表形式で、左の列に機能が箇条書きで列記されていて、その隣の列に当社とA社の対応している機能に○印がついているものです。

 

生産財の場合は、機能だけでは不十分で品質・納期・価格・技術力・サービスなども買い手が気になる部分です。ここまでの比較表なら、うちも作っているよと言われるかもしれません。

 

でも、これだけでは“もったいない”のです。同じようなものを他社でも作っていて、競合もうちの方が優れていると主張しているので、その上を行く必要があります。

 

その上とは何か?

顧客の課題解決力です。他社では難しいけれど、当社ではこういう風に解決できますよという差を示すのです。顧客の課題が絞りきれなければ、業界共通の課題でもよいでしょう。あなたの製品・サービスでどう課題解決できるかを比較すれば、大いに興味を持たれるでしょう。

う。


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新規顧客開拓

新規顧客開拓では、営業が相手にとって「招かれざる客」になってしまいがちだということが問題です。製品・サービスの特長を説明されて、いかに優れているか、競合と比べて何が違うかを聞かされるのです。

 

ちょうどそれを求めていたら良いのですが、ほとんどの場合は「それがなに?」とスルーされるか拒絶されるかになってしまいます。

 

つまり、視点が製品・サービスに向いていて、顧客に向いていないのです。顧客視点にするためには、次のような考え方をしましょう。

 

あなたの製品・サービスで解決できる課題のリストを作りましょう。なるべくたくさんリストアップしてください。

 

次に、顧客対象となりそうな業界を調査して、その業界共通の課題を見つけてリスト化しましょう。

 

自社製品・サービスで解決できる課題のリストと、対象業種の共通課題のリストを突き合わせて、できるものを洗い出して、それをPRポイントにします。1~2個ではなく、なるべく数多くです。

 

製品・サービスのスペックや特長を説明するのではなく、それによってどんな課題か解決でき、その結果どういうよい状態になるかを提示するのです。そうすれば新規であっても、受け入れてもらえやすくなります。


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1社に依存していませんか?

生産財企業の場合、長年取引している1社ないし数社の顧客への売上高の割合が非常に高いことがよくあります。あなたの会社ではどうでしょうか?

 

そのこと自体は、その顧客から信頼されて取引が継続しているので素晴らしいことです。しかし、少々懸念した方がよいこともあります。2つの点を考慮しましょう。

 

1つは、その顧客におけるあなたの製品のシェアです。同等品を他社からも仕入れていたり、社内で内製したりしているかもしれません。製品シェアによって、売り手と買い手の力関係が変わってきます。

 

2つ目は、その大口顧客との取引消滅のリスクです。大きな環境変化により、顧客の状況が急変して取引が急に打ち切られることがないとは言えません。1社に依存していたら自社への影響は甚大です。相手先の内情は外部からは見えづらいので、急な対応は難しくなります。

 

できれば、特定の顧客や業種に依存せず、ある程度分散して販売できる体制を整える方が、経営に安心感をもたらすでしょう。


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顧客から見たコスト

顧客が材料や部品購入に関わるコストには、どのようなものがあるでしょうか。

 

先ずは、仕入価格、輸送費、保管費など目に見えるコストがあります。それ以外にも、目に見えないものとして、購買品探索コスト、購入候補先の調査費、商談にかかる費用、検品費用や業界特有に必要な費用もかかってきます。

 

顧客に仕入価格以外にも上記のようなコストや手間がかかるとわかれば、取り得る施策の幅が広がります。仕入価格だけの競争ではなく、人手がかかることを効率化したり肩代わりしたりすることを提案して差別化できます。

 

このように顧客の業務に関わっていくと、長期的な取引関係が維持されるようになります。顧客が別の新たな仕入先と同じような関係構築するには、膨大な手間と時間がかかるからです。

 

少し視点を変えて、顧客の立場からコスト構造を考えてみると違う打ち手が見えてきます。


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KPIマネジメント(7)

KPIの運用面の整合性を確認したら、計画を実行します。そして、あらかじめ決めた期日に、KPIの達成度合いをチェックします。

 

チェックの結果、事前に決めておいた達成度合いに応じた対策を行います。その場合は、なぜ達成できなかったのかの原因(個人ではなくコト)を見つけることを先にします。

 

KPIの目標が達成できた場合も、なぜできたのかを明らかにして、継続的に実施できる体制を取りましょう。そして、次のCSFとKPIへ移ります。

 

このようにして、PDCAサイクルを短期間に回していけば、実行結果が数値で見える化でき、計画と進捗状況の差が明確なので、モチベーションも上がるでしょう。

 

KPIマネジメントを採用する場合、最初から全社としての取り組みでなく、部分的に取り組んで慣れる方が良いかもしれません。完璧を目指さず、先ずはなるべく簡単な仕組みで、なおかつ指標の設定などを“失敗したら変えてみればいい”くらいの気楽な方が上手くいくでしょう。



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KPIマネジメント(6)

KPI(Key Performance Indicator)「重要業績評価指標」の数値目標を設定したら、次は運用面の整合性を確認します。KPIの数値目標を達成したら、KGI(Key Goal Indicator)「重要目標指標」を達成することにつがなるかを再度論理面で確認します。

 

次に設定したCSF(Critical Success Factor)「重要成功要因」を実行して、KPIが達成できれば、KGIが達成できるのだということを社員が納得できるようにすることが必要です。そのためには、関係する社員を巻き込んで作り上げることが望ましいです。

 

CSFやKPIは複雑にせず、誰もがわかる指標にしましょう。そして、KPIの目標数字は、覚えやすいキリの良い数字が良いでしょう。

 

さらに、KPIはいつまでにという期限も明確にして、その時までに達成できなければ「どうするか」という対策も事前に決めておくことスムーズな運用につながります。



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KPIマネジメント(5)

前回、売り上げを増加させるための対策を要素分解しました。この中で、外部環境の影響が少なく、自社の活動でコントロールできて、効果の高いものをひとつ選択して達成期間を決めます。

 

ここで重要なのは、ひとつに絞るということです。なぜかというと、複数の対策を同時に実施して効果が出たとしても、そのうちのどれが貢献したかがわからないからです。そのため期限を決めて、ひとつの対策を実施して検証し、結果が出れば次に別の施策を実施するようにします。

 

ここでは、「受注率を上げる」を選択したとしましょう。

受注率=受注件数/商談件数

と数式化できます。商談件数を増やせば、比例して受注件数も増えるでしょう。しかし、人的、時間的に限られているので、商談件数を劇的に増やすのは難しいかもしれません。

 

それでは、商談件数は前年と同じとして、「受注件数を増やすには」という施策を検討します。事業内容によって、さまざまな施策が考えられるでしょう。それで数値目標として設定できるものをCSF(Critical Success Factor)「重要成功要因」、その数値目標をKPI(Key Performance Indicator)「重要業績評価指標」とします。ここでも、KPIはひとつです。


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KPIマネジメント(4)

仮に、KGIを「売上高○○円」と設定したとすれば、“③プロセスを確認する”のステップでは、売上高を分解します。ここでは、4回前にお話しした分解を使います。

 

売上=顧客数X購入単価X購入頻度

 

売上高の分解方法は他にもあるので、あなたの事業に合った要素に分解してください。今回は例として上記で話を進めます。

 

売り上げを増加させるためには、「顧客数を増やす、購入単価を上げる、購入頻度を高める」のいずれかです。そして、それぞれの対策を考えてみます。

 

顧客数を増やすの例として、広告宣伝を効果的に行う、受注率を上げる、これまでと違う業界を開拓する、など。

 

購入単価を上げるの例として、単純に価格を上げる、より価値を高める、関連するものをセットで販売する、など。

 

購入頻度を高めるの例として、定期購入の仕組みをつくる、用途開発の提案をする、顧客の他部署にも営業する、など。

 

このような対策のうち、外部環境の影響が少なく、自社の活動でコントロールできて効果の高いものを選択します。


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KPIマネジメント(3)

最初のステップは、KGI(Key Goal Indicator)「重要目標指標」の設定です。数値化する前に、どうなっていたいかという「ありたい姿」を描くことから始めます。それも時期を決めてです。

 

中長期的な目標かもしれませんし、来年の目標かもしれません。1年間の計画であれば、1年後のKGIでよいのですが、中長期の場合は最終のKGIだけでなく、途中のKGIも必要です。

 

「ありたい姿」によってKGIは変わってくるのですが、一例として売上高、利益などがあげられます。後で現状を把握したり、部門の目標を設定したりして調整するので、ここでは仮の数字としておきます。

 

次に、現状とのギャップを確認します。前年度の計画に対して現状はどうだったのか。未達の計画に対しては、何が課題なのか。ということを洗い出します。

 

その上で、設定したKGIの指標に対応する現状の数字を比較し、ギャップを測定します。


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KPIマネジメント(2)

前回のタイトルは「業績を数字で測定する」でしたが、内容はKPIマネジメントについてなので、今回のタイトルは「KPIマネジメント(2)」としました。

 

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」でしたね。そして、その設定ステップの初期段階は

1)KGI(Key Goal Indicator)「重要目標指標」を設定する

2)現状とのギャップを確認する

でした。

 

このステップは何かと似ていませんか?そうです。顧客の課題解決のステップと同様なのです。

1)(顧客が)実現したい状態

2)現状とのギャップを見つける

 

KPIマネジメントは、自社内の業績(活動のプロセス・結果)なので数字で把握しやすく、活動の良否の判断が容易になります。

 

顧客の課題解決でも、最終的には成果が数字で出てくるはずです。顧客からフィードバックをもらえれば、達成度合いはわかるでしょう。


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業績を数字で測定する KPIマネジメント(1)

KPIという言葉をご存じでしょうか。今日は、前回に「具体的施策を数字で測定します」とお話ししたことを掘り下げていきましょう。

 

数字で業績評価・測定し改善していく方法のひとつに、KPIマネジメントがあります。KPIとはKey Performance Indicatorの略で、「重要業績評価指標」と訳されます。関連する用語にKGI(Key Goal Indicator)「重要目標指標」、CSF(Critical Success Factor)「重要成功要因」があります。

 

この3つを使って数字で見える化を図ります。体系的にお話しすると、KGIが最終的な目標数値です。それを達成するためのプロセスが、うまくいっているかを評価するのがKPIです。この2つは、具体的な数字で表します。CSFはKGIを達成するために、何をしたらよいかという活動内容です。

 

設定ステップは、

1)KGIを設定する

2)現状とのギャップを確認する

3)プロセスを確認する

4)CSFを絞り込む

5)KPIを設定する

6)運用面の整合性を確認する

7)運用→PDCA


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大きな目標は小さく分解しよう

目標が大きすぎるか抽象的な場合は、何をしたらよいのか困惑してしまいますね。こんなときは、小さな目標に分解していき、行動しやすい具体的なタスクに落とし込みましょう。

 

例えば、売り上げを増加させたいという要望があった場合、思いついたことを手当たり次第実施しても効果は上がらないでしょう。そこで、いきなり売上増に取り組むのではなく、次のように売上を分解します。

売上=顧客数X購入単価X購入頻度

 

このように分解すると、顧客数、購入単価、購入頻度のそれぞれについて具体的な施策を考えればよいことがわかります。そしてその具体的施策を数字で測定します。いかがでしょうか。何となくイメージが湧いてきたのではないでしょうか。


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他社との協力関係

入り込みたいが、なかなかきっかけがつかめない潜在顧客や、参入したいがどうアプローチしたら良いかわからない業界はないでしょうか。

 

自社だけで取り組もうと思っても、期待するような成果には簡単には結びつきません。そんな時は他社の力を借りる・提携するというのもひとつの手です。

 

代理店の利用の他にも、自社と関連したり補完したりするような製品やサービスを扱っている企業と相互に自社製品の営業の際に、相手の製品も一緒に営業し合うのです。売れたら紹介料を支払うという契約にすれば、双方が失うものはなく、販路拡大に寄与するでしょう。

 

直接競合する企業でなければ、協力関係を築ける企業は結構あると思われます。販売協力から発展して、製品の共同開発などにつながるかもしれません。


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具体と抽象

たまたまラジオを聞いたときに、こんな話をしていました。新型コロナで寄席にお客様の入場を禁止されたときに、寄席の席亭がネットで生配信を始めたそうです。すると、これまで寄席に来られなかったような地方の人の新たなお客様ができたと言っていました。

 

この話自体は、芸能の分野の話しですが、異分野・異業種の事例だからといって自社とは関係ないと思うのはもったいないです。違う分野の成功例を応用するのに役立つ考え方が、「具体と抽象」です。

 

「寄席が生配信で新たなお客様が増えた」というのが「具体」です。このままでは、コンテンツ配信以外は使えません。

 

ここで、生配信とは?と考えてみます。寄席に来ることが難しかった人に、容易に落語などを届ける手段→潜在顧客が製品・サービスの入手しやすさというように、一般的に広げるのが「抽象」です。虫の目を「具体」としたら、鳥の目が「抽象」です。

 

そうすると、コンテンツ販売でなく、物販でも何か応用できそうと発想が広がります。その上で、自社に合わせた方策、例えばロジスティクスの見直し、新たな販路の検討などを具体的に行うことで、新規の顧客獲得が見込めるかもしれません。

 

具体と抽象の参考書籍として、下記をご紹介しておきます。

「具体⇄抽象」トレーニング 細谷功著 PHPビジネス新書




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そのやり方で良いのか見直そう

知り合いの経営者から聞いた話しです。情報収集のため、無料のオンラインセミナー(4、5社の企業の担当者が講師)を受講したそうです。

 

数日後に、セミナーを行った企業からそれぞれメールや電話での案内がきました。そのうちの1社からの電話は、留守録にメッセージが入っていました。翌日以降も10回以上同じ会社からのメッセージが入っていたとのことです。

 

その経営者は個人事業なので、仕事を中断して営業電話に出たくなく、その電話番号には出なかったそうです。その電話の会社は、誰でも知っている大手なのですが、メッセージの文言はいつも全く同じだったようです。大手企業でもそんな営業するのかと、知人はあきれていました。

 

無料セミナーを実施して、その後フォローするのは当たり前なのですが、そのやり方が硬直的になっていないでしょうか。電話をかけて不在ならかけ直したり、留守録にメッセージを残したりするのは良いと思います。

 

しかし、セミナー受講者全員が購入するつもりで受講しているわけではなく、単なる情報収集や興味本位の人もいます。数回電話しても出なければ、見込みないと判断すべきでしょう。

 

電話を掛けてきた人は、会社の決まりで、相手から何らかの返事をもらうまではコンタクトしなさいとか、フォローシートに埋めなければいけないと言われていたのかもしれませんが、無駄な行為なのは明らかです。

 

この例は極端ですが、決められたことだからやっていることに疑問を持ち、もっと他に方法はないかと考える習慣を醸成していく必要があるでしょう。




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業界で当たり前のことを伝えよう

顧客に製品のことを説明するときに、他社との違いを伝えることが多いと思います。それは必要なことではあるのですが、それとは別の効果的な方法があります。特殊なものでなければ、製法や原材料にそれほど他社と差がないでしょう。

 

顧客が自社が購入する製品や部品の製造プロセスや原材料の知識があまりない場合に有効な方法です。あなたの会社では、これだけ多くの工程を経て、こんな品質管理をして、こんなに厳選したさまざまな原材料を使って作っているということを是非伝えましょう。

 

独自の製法や材料でなくても良いのです。業界で当たり前のことでも顧客が知らなければ、あなたの会社はすごいと思ってくれます。一番先に伝えることが重要です。最も、業界で当たり前のことをあえて伝える企業はあまりないため、気づいた者勝ちです。




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数字をざっくり捉えよう

これまであまり経験のない新規事業や新市場へ進出しようとするとき、先ず市場調査を行うと思います。その際に、最初から詳細に分析しようとするのは効率的ではありません。

 

はじめに、勝算がありそうかどうかの当たりをつけるために、ざっくりとした数字を出してみましょう。日頃から概算で計算してみるクセをつけておくと役立ちます。

 

例えば、大谷選手の22号ホームランの打球速度が108.3マイル/時というアナウンスがあったとき、時速に換算するとしましょう。1マイルは1.609㎞です。ざっと頭で計算するには、110✕1.6=100✕1.6+10✕1.6=176となります。正確には174.3㎞/時ですが、どれくらい速いのかを知るには概算で十分です。

 

市場調査などはもっと複雑ですが、なじみのない分野では、あれこれ情報をたくさん集めてから分析するよりも、少なくても良いのでキーとなる項目から類推して概算数字をはじき出してみるのが効率的です。

 

その時に有益なのが「フェルミ推定」という考え方です。把握することが難しい数量について、何らかの推定から論理立てて概数を短時間で出す方法です。「フェルミ推定」について、詳しくはネットで検索してみてください。目的の数字を出すためには、何をどう論理立てて計算すれば良いのかを考えるトレーニングになります。




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製品・サービスに独自の名前を付けよう

「ゲンコツロボット」をご存じでしょうか?産業用ロボットのファナックの製品ラインナップのひとつです。https://www.fanuc.co.jp/ja/product/robot/f_r_genkotu.html

このネーミングは、人間の「げんこつ」に由来します。先端が手のように、非常に俊敏で器用に動くタイプのロボットです。

 

一般的には、「パラレルリンクロボット」と呼ばれています。生産財の製品名は、一般的な名称のカテゴリーに区分けして、アルファベットと数字の組み合わせで機種名を表示するケースが多いのではないでしょうか。

 

それだとなかなか覚えてもらえにくいですね。「ゲンコツロボット」名を使用するファナックのロボットは独自性があり、一般名称の「パラレルリンクロボット」名を使用する他社のロボットとは違うカテゴリーのように見えませんか。

 

ユニークだけど奇抜すぎず、その特徴を表しているネーミングは覚えてもらえやすく、導入検討段階で、真っ先に候補に挙がる可能性が高くなります。良い製品・サービスをつくり出すと同時に、それを知ってもらう工夫も必要です。そして、ネーミングはあまり凝りすぎず、シンプルな方が記憶に残ります。




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保守派に対しては○○を強調しすぎない

我々は多かれ少なかれ、現状維持しようという思考があります。その傾向が強い人は、今までのやり方を変えることに強い抵抗感を抱きます。

 

顧客がこれまで採用してきた部品や原材料から、新しいものへ変更するかどうかの検討時に保守派の人にどう対応したら良いでしょうか。

 

「従来品とは全く異なる革新的なもので、素晴らしい効果が期待できます。」と伝えた方が良いでしょうか。残念ながらこれは逆効果になります。

 

全く違う製品であっても、「違い」を強調するより、「従来品の機能をアップさせた進化形です」などと、これまでの継承というイメージを持たせる方が抵抗感が和らぎます。

 

これは、自社内での新製品開発の反対派に対する説得の方法としても使えるでしょう。




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リスクリバーサルを利用しよう

消費財の購入に対して生産財購入の場合は、リスクを回避する傾向が強いという話は繰り返ししてきました。一回の購入金額が大きく、継続的な取引の傾向が強いためです。

 

そのため、新規取引にこぎつけるためのハードルはかなり高く、時間もかかります。そこで有効な方法のひとつとして、リスクリバーサルがあります。

 

マーケティングにおけるリスクリバーサルとは、顧客の購買リスクや不安を取り除くことです。長年取引があれば、顧客は売り手のことをよく知っているので安心して取引できます。しかし、新規の場合は、売り手に対する信頼感が薄いので、安心感を与える必要があるのです。

 

リスクリバーサルの代表的なものに「返金保証」があります。通販番組などで「ご満足いただけなければ、○○日以内であれば全額返金いたします。」とよくやっているものです。

 

「返金保証」だけがリスクリバーサルではありません。業種によって様々な手段が考えられます。デモ機の貸し出しや初月は無料だったり、ソフトウェアなどでよくあるのが、機能限定版は無料でフルスペックは有料だったりなどです。

 

新規顧客開拓に苦労している場合には、どんなリスクリバーサルができるか検討する価値はおおいにあります。




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顧客の現場を観察しよう

あなたの会社の製品やサービスを既に利用している顧客が何社もあると思います。その顧客が製品やサービスを使用している現場を、定期的に訪問しているでしょうか。

 

製品やサービスの価値を発揮できているか、何か不具合はないか、もしくは、現場を観察していて、あなたが意図した利用の仕方をしているのか、違う使い方をしていないか、それはなぜなのかなど得られる情報は豊富にあります。

 

そうした情報を、次の製品開発や今後の顧客サービスに生かしたりできます。一度見たからもうわかっていると言わずに、定期的に訪問することで顧客の変化がわかります。顧客の情報は貪欲にキャッチするようにしましょう。




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ネガティブを利用する

販促や営業で製品やサービスを紹介するときに、この製品・サービスはここが改良されました、こんなに優れていますよ、とそのメリットを並べ立てていないでしょうか。素晴らしさを伝えたいという熱心さは伝わりますが、顧客の立場になると「本当にそんな良いことばかりだろうか?」と一歩引いてしまうこともあります。

 

そこで、顧客が疑問に思うことやデメリットを、こちらから取り上げてみましょう。いくつかメリットを伝えた後に、「そうは言っても○○ではないのと思われるかもしれません」(○○は疑問に思うことやデメリットの内容)と先回りします。

 

それに対して的確な回答ができれば、顧客は疑問に思っていたことが解消されたので、販促の内容や営業の話しに信頼感を持つようになります。

 

販促資料や営業トークを考えるときには、製品・サービスのメリットだけでなく、顧客が疑問に思うであろうことを洗い出して、その回答を事前に考えておく、そして先にこちらから持ち出すことは信頼感を増すことにつながります。



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持続可能性

欧州の規制当局がファストファッションに対して、持続可能性を求める方向を打ち出した、服の寿命からリサイクル糸の使用量まで、基準リストに適合するよう求めるという新聞記事が掲載されていました。

 

流行を採り入れつつ低価格に抑えた衣料品を大量生産し、短いサイクルで販売するビジネスモデルのファストファッション業界では、売れ残りの廃棄処分問題や労働環境問題も含め持続可能な社会には適さないと認識されるようになってきました。

 

ファッション以外も含めて世界の潮流として、消費社会から、なるべく長く使うかリサイクルして使う方向になりつつあります。実際まだまだ十分使えるのに、流行遅れになったから、飽きたから、魅力的な新製品が出たからという理由で買い換えていることが多いのではないでしょうか。

 

消費者のマインドが変わって、長く使おうとなり、仮に毎年買い換えていたものを2年ごとに延ばしたら、消費は半分になります。最終製品の売上数量が半分になれば、当然生産財も半分になります。

 

中長期的にこの流れは確実なので、生産財においても耐久性があり長持ちするものか、逆に簡単に分解・分類できリサイクルしやすいものを開発していくという視点が求められるでしょう。そういう部分の付加価値も高めて、数量が減っても売上は減らない方策を考えておきましょう。



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逆転の発想

先日「ガイアの夜明け」という番組を見ました。そこで、そんな考え方もあるのかと思ったことがあるので紹介したいと思います。

 

北海道でのコインランドリーのビジネスモデルの紹介がありました。コインランドリーは店舗に洗濯機や乾燥機が置いてあり、顧客が自分で衣類などを洗濯機に入れて洗濯しますよね。

 

ところが、北海道のその店は従業員が何名もいて、顧客はクリーニング店のように衣類を預けて、コイン式洗濯機で従業員が洗濯をするのです。人件費がかかって儲かるの?と勘ぐってしまいます。

 

経営者曰く、無人のコインランドリーでは、洗濯が終わっても顧客がすぐに取りに来ないので、機械の稼働率が悪いが、従業員なら次から次へ間を空けずに行うので、稼働率が飛躍的に高まるのだそうです。

 

人件費がかかっても、稼働率が高まれば利益は増える、という一見常識とは反対の考え方ですが、実態を観察した結果から導き出されたビジネスモデルです。

 

現実をよく観察することと柔軟な発想の重要さを再認識させられた番組でした。皆さんはいかが感じたでしょうか。



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キャッチーな言葉だけだと誤解を招く

人々の注目を集めるために、刺激的な表現や言葉を使う傾向が強まっています。短くキャッチーな言葉の方が伝わりやすく、記憶に残りやすいのは確かです。

 

しかし、一発芸人はともかく、ビジネス上では目を引くような短いフレーズだけを発していては、真意が伝わらなくて違った解釈をされてしまう可能性があります。少しでも不安があったら、そのフレーズの後に、こういう意味だよという説明を加えるべきでしょう。

 

米テスラのイーロン・マスク氏が「世界で採用全面停止」「10%人員を削減する」と表明しました。ところが、米国とドイツで大型工場を本格稼働を始めて大規模な新規採用をしているのです。マスク氏の発言によって、業績の不安からテスラの株価は下落しましたが、意図が伝わらないと誤解を招きます。

 

要点がわからない説明をだらだら続けるよりは、端的に短く伝える方が良いのですが、真意が伝わる配慮は重要です。広報担当者や経営幹部の発信には少し気を遣うと良いでしょう。


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新しい経営用語に振り回されない

直近で流行っている経営用語は「パーパス」でしょうか。「存在意義」と訳されています。「存在意義」ってこれまでも、ミッションとか経営理念とかがそれに当たると言われてきましたね。

 

人によってとらえ方が多少違うようですが、「パーパス」とミッションや経営理念とは、忙しい経営者が気にしなければならないほどの違いはありません。学者や目新しい言葉を使ったツールを売りたい業者が、あたかも全く違う概念のように言いふらしているのです。

 

批判されるのを覚悟でいうと、SDGsだって、近江商人の経営哲学の「三方よし」=「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」を体系化しただけのものです。

 

「三方よし」のうち「世間よし」を広く捉えれば、地球環境や世界の貧困も含まれます。欧米人は、体系化したり分類したりフレームワーク化したりするのが得意なので、目新しく映るだけです。

 

根本的な思想は日本に元からあるものなのですが、概念が曖昧なので。枠組みがしっかりしている欧米からの言葉がもてはやされるのでしょう。

 

そのため、中身がそんなに変わらないものが出てきたからといって、前のものを捨てて新しいものに飛びつく必要は全くありません。「あっまた出てきたか」程度にとらえて、評価が定着して必要なら導入すればよいでしょう。


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先ず売ってみる

新製品開発では、できるだけ良いものを、顧客のニーズに100%応えられるものを作ろうとして何度も試作をし、テストを繰り返していることと思います。

 

より良いものを作ろうという考えは大変素晴らしいことです。しかし、それが行き過ぎて完璧になるまで出荷しないとなると、ちょっと話は違ってきます。

 

そもそも完璧というのはどういう状態なのか。顧客が要求する100%でないと売れないのか。80%ではダメなのか。顧客によって要求レベルは異なるのではないか。市場の受け取り方と自分たちの思い込みにギャップがあるかもしれません。

 

もちろん、箸にも棒にもかからない品質では話になりませんが、80%ぐらい(場合によっては60%でも)出来たと認めたら販売して、顧客の反応を見るのも有力な方法です。

 

販売して顧客からフィードバックをもらって、改善していく方が結局はより完成度が高まるということはよくあります。試作段階では気づかなかったことが、顧客が実際に使ってみて初めて気がつくこともあるでしょう。

 

また、慎重になって時間をかけすぎて、他社に先行されてしまうかもしれません。十分納得がいかない出来でも、早めに世に出してみてフィードバックを得ることで、顧客とのつながりが強固になるメリットも望めます。


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家具店から学ぶ

先日のTV番組「カンブリア宮殿」で、家具・インテリアショップのリビングハウスを取り上げていました。消費財の会社ですが、根本の考え方は生産財でも共通します。

 

現社長が会社を継ぐに当たって、北欧の家具メーカーで修業をしていたときのことです。家具の配送をしていて気づきました。家の外観は立派で、いい車も持っていて、高級家具を購入したけれども、室内が家具とマッチせずオシャレでない家がほとんどだったのです。

 

そこで、リビングハウスのコンセプトを家具を売る店ではなく、「シーンを買ってもらう、そのシーンでくつろいでもらう時間を買ってもらう」というように定義づけました。

 

モノを売るのではなく、そのモノが提供する価値を売るのです。具体的には、家具を選びに来たお客様に、その家具を置く部屋の様子を聞いて、3Dソフトで自宅の部屋を再現して、家具を置いた様子をビジュアル化し、家具の色やインテリア用品などをコーディネートするサービスを提供します。

 

ここでは、2つのことを取り上げたいと思います。

(1) 家具の購入者は、部屋のコーディネートの大切さに気づいていなかった。顧客が気づいていない課題に着目した。
(2) 家具というモノを売るのではなく、部屋のコーディネートというサービスを通して、「そのシーンでくつろいでもらう時間を買ってもらう」というモノが提供する価値をコンセプトにした。

 

この思想は、生産財でも同じように使えるので、あなたの会社ではどうだろうかと考えてみるのも良いのではないでしょうか。上記の(1)と(2)を両方同時に満たさなくても、どちらか一方でも構いません。


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潜在的ニーズを顕在化する方法

前回は潜在的ニーズについてお話しました。まだ顧客が気づいていない問題を気づいてもらうには、どうしたらよいでしょうか。

 

それには、理想の状態を語ること、可能ならデモンストレーションなどで見せることです。今の状態が当たり前と思っているところに、もっと素晴らしくなれると気づかせることで問題意識が芽生えます。

 

問題とは、現状と理想の状態とのギャップです。理想の状態を想像していなければ、問題意識は生まれません。そこで、現状が当たり前という意識から、もっと良くなれるのだという意識改革を促すのです。

 

ただし、理想の状態というのは主観的な感覚が大きいので、あなたがこうすべきだと勧めても、顧客が乗り気にならないこともあります。日頃から顧客とのコミュニケーションがどれだけとれているかでその確率は変わってくるでしょう。


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ニーズ、ウォンツ、シーズ(その3)

前回はニーズを深掘りして、本質的なニーズをつかもうというお話しをしました。この場合、顧客は自分のニーズをはっきりと自覚しています。生産財で顧客から引き合いがある時は、ほとんど課題が明確な場合です。

 

これとは別に、

(1) 顧客がなんだかわからないけれど、うまくいっていない気がすると思っている。
(2) あなたが顧客の同業他社をいろいろ見ていて、こうすればもっと良くなるのにと思っているが、顧客は問題意識さえ持っていない。

 

(1)、(2)のような潜在的ニーズを発見し、具体的な解決策(ウォンツ)として自社のシーズを活用できれば、顧客の信頼感は高まるでしょう。

 

潜在的ニーズを発見するのはそう簡単ではありません。顧客とのコミュニケーションを密にして、状況を把握して、必要な情報を聞き出す力(質問力)が求められるのです。そのための情報収集には、営業だけでなく技術やサービス部門などの協力が欠かせません。


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ニーズ、ウォンツ、シーズ(その2)

前回はニーズとウォンツの解釈についてお話ししました。このメルマガでの定義では

解釈1)ニーズとは、人間の基本的要件、食料、空気、水、衣服、住居、教育、娯楽。

ウォンツとは、ニーズを満たす特定のもの。

 

例を挙げれば、ある人が壁に穴を開けたいというニーズを持っていたとして、それを満たすためのウォンツがドリルだということです。

 

ここで簡単に納得しないで欲しいのです。というのは、穴を開けたいというのが本質的なニーズなのか? と疑ってください。

 

顧客が穴を開けたいからドリルが欲しいと言ってきたときに、「わかりました。ドリルにはA商品、B商品、C商品があり、それぞれ特徴は○○です。」というように商品説明を始めるのはまずいやり方です。

 

先ずは、ニーズを深掘りしましょう。「なぜ穴を開けたいのでしょうか?」と何のためという目的を追求することです。そこで、【棚を作ってものを整理したい】というのが最終目的ならば、穴を開ける以外の手段もあるはずです。

 

仮に、自社のシーズ(商品やサービス開発の素となる技術やノウハウ、アイデア、特別な素材や材料)としてつっぱり棒を使った整理棚のノウハウがあれば、「壁に穴を開けずに簡単に棚を作れますよ」という提案ができます。

 

表面的に顧客の話をそのまま受け取るのではなく、もう一歩、二歩深掘りして聞き出す、考えるということをすると、より顧客の本質的なニーズに合った提案ができる可能性が高まります。


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ニーズ、ウォンツ、シーズ(その1)

「ニーズ」という言葉は、何となくよく使われていますよね。だからこそ、ひとによってその意味するところが微妙に違ったりするようです。

 

似たような言葉に「ウォンツ」というのもあります。これらの組み合わせでよく目にする、2通りの解釈をみてみましょう。

 

解釈1)ニーズとは、人間の基本的要件、食料、空気、水、衣服、住居、教育、娯楽。

ウォンツとは、ニーズを満たす特定のもの。

 

解釈2)ニーズとは、人々の間で顕在化されている欲求。

ウォンツとは、人々がまだ気がついていない潜在的欲求。

 

この他にも別の解釈をするひとがいると思いますが、どういう意味で使っているのかを確認しておかないと、話しが食い違ったりします。

 

このメルマガでは、解釈1)の定義で使っていきます。このテーマについては、お伝えしたいことがまだあるので、次回までお楽しみに。


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アイデアのつくり方

新商品開発や新しい事業を始めるときのアイデアを、どうひねり出したら良いか困っていませんか?

 

そんな時に役立つ本が、「アイデアのつくり方」ジェースム・W・ヤング著 CCCメディアハウス出版です。著者はアメリカ最大の広告代理店の常任最高顧問、アメリカ広告代理業協会の会長を歴任、1988年初版ですがいまだにロングセラーです。

100ページあまりの本で、本文は60ページほどなので、すぐに読めます。

 

この本では、2つの原理があると説いています。第1に「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということ。第2に「既存の要素を新しい1つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい」ということ。

 

アイデアがどこからか降ってくるのを待つ、などという偶然性を期待するのとは違い、アイデアをつくり出すことができることを教えてくれています。確かに全くのゼロの状態から何かが生まれるわけもなく、既存の要素の組み合わせから生まれるというのは、この方法論によりアイデアをつくり出せる確率が高まるということです。


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4つの目とは(その11 心の目(3))

心の目で最後にお話ししたいのは、好きになることです。恋愛に例えると、相手のことを好きになると、その人のことが気になります。その人が何を考えているのだろう、何をしたいのだろうということを考えるようになり、ちょっとした変化にも気づくようになります。

 

顧客に対しても好きになれば、もっと知ろうという意欲が増しその結果、感覚が研ぎ澄まされ、顧客の意図を察知しやすくなります。自社製品を売ろうではなく、顧客の想いを実現するために何をすればよいかを意識します。

 

もちろんすべての顧客を好きになる、ということではありません。理不尽な要求を突きつけてくる顧客、値引きばかり要求する顧客など良好な関係構築を築けない顧客まで好きになる必要はありません。

 

良好な関係構築ができる顧客に対しては、ドライな付き合いではなく、心からの対応を行っていけば、長期的に安定したパートナーになるでしょう。


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4つの目とは(その10 心の目(2))

製造業のホームページやカタログの製品紹介のページでは、その製品の仕様が詳しく載っています。製品の寸法、重量、どんな機能があるのかというようなことです。

 

顧客がその種の製品に詳しければ、仕様を見て自社にマッチするのか判断できるかもしれません。しかし、あまり詳しくなければ製品仕様を見ただけでは、役に立つのかどうか分かりません。

 

異なる顧客であっても、抱える課題は共通するものが多いです。こういう課題には、製品Aによってこのように解決できます。別のこの課題には、製品Bによってこのように解決できます。のように何が得られるのかを伝える方が相手に響きます。

 

顧客が課題解決ができた状態を想像できるようにすること。当社の○○を導入して長年困っていた課題が解消されて、担当部署全員が笑顔になったというように情景が目に浮かぶような表現は効果的です。

 

顧客の立場に立って、どう感じるかを想像しプロモーションに効果的に生かすことも取り入れてみませんか。


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4つの目とは(その9 心の目)

NHKラジオ深夜便でこんな話をしていました。ホスピス・緩和ケアに携わる医師が話したエピソードです。大阪大学の医師が末期の膵臓がんで、亡くなる直前にこう言ったというのです。

 

「私の『生命』は失われるが、私の『いのち』すなわち価値観はこれからも生き続ける。今までの医学は、『生命』は診てきたけれど、『いのち』は診てこなかった。これからの医学は、『生命』だけでなく、『いのち』もしっかり診ていかなければならない。」

 

ここで、『生命』は物質的で限りあるもので、『いのち』は価値観など永遠に残るその人が大事にしている形のないものです。医療はかつては延命治療重視でしたが、今は患者の心をくみ取り寄り添いながら診ていく方向になってきています。

 

医療とビジネスでは分野は違いますが、共通する考え方はあるのではないでしょうか。皆さんはどうお考えになりますか?


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4つの目とは(その8 魚の目)

今日は4つの目のうち3番目の魚の目です。魚は水の流れを感じ取って、目的地の方へ泳いでいきますね。事業でも同様に変化の流れをつかんで、時代を先取りしましょう。

 

トレンドを読むためには、情報収集が必要です。手っ取り早いのはマスコミ(テレビ、新聞など)からですが、それだけに頼っては見誤ってしまうかもしれません。

 

なぜなら、その情報が必ずしも正しいとは限らないからです。情報源は複数から集め、ネットからの情報は玉石混淆なので注意が必要です。

 

一次情報(関係者から直接得た情報)が複数から得られると信頼性が高まります。顧客からの情報以外にも、展示会に行くことも有益な手段です。現場の話しとマスコミやネットの情報に食い違いがあることがよくあるためです。


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4つの目とは(その7 虫の目で見る)

VEやVAという言葉はご存じの方も多いと思います。VEはValue Engineering(価値工学) 、 VAはValue Analysis(価値分析)です。

 

VE、VAとも製品の品質を落とさずにコストダウンを図る手法ですが、VEは製品設計段階で行い、VAは既存の製品を分析して行います。一般的には、VEの方が製品化前のため自由度が高く、VAの方は小幅な改善になりがちです。

 

どちらも顧客が求める価値を明確化して、それを満たすための材料・形状・加工方法などを見直して最適化を図ります。ここで重要なのが、顧客が求める価値をしっかりとつかむことです。要求仕様書などに記載しきれないニュアンスも、現場での顧客とのコミュニケーションから理解しておくと強いです。


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ロシアによるウクライナ侵攻

ロシアによる軍事侵攻はとても許されるものではありませんし、その影響は世界中に及びます。ウクライナに進出している企業には直接的な影響がありますが、間接的にも経済的には原油、LNGなどエネルギーの供給減と高騰、小麦価格の高騰などの影響がこれから出てきます。

 

4回前と5回前の記事でサプライチェーン・マップを作成してPEST分析しましょうとお勧めしました。上記の影響がこのマップ上の企業にどのような影響があるかを想像しておきましょう。

 

現時点で今後どのような展開になるか見極めるのは難しいですが、アメリカやEUの動向も含めて注視していく必要があります。我が社にとって最悪のシナリオも想定して、対応を考えておくことも念のため必要なことでしょう。


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4つの目とは(その6 複眼で見る)

「神は細部に宿る」という言葉を聞かれたことのある方は多いかと思います。細部にも手を抜かずに仕事を行おうということですね。というと製品の製造や仕上げを丁寧に行う勧めだと思われるかもしれません。

 

もちろんそれも大事なことですが、それは皆さんが実践していることでしょう。ここでは前回の内容の「顧客を理解する」ことを掘り下げていきましょう。

 

顧客の観察やヒアリングによって、顧客企業として解決したい課題が○○だと見つかったとします。しかし、○○だけにフォーカスすればよいかと言えばそうではありません。消費財の購買とは異なり、生産財の場合は関係者が複数の部署にまたがっているからです。

 

そのため、虫の複眼のように一方の目で顧客企業全体としての課題○○を見つつ、他方の目で関係者それぞれの意向を探ることも必要です。その中でも、大きな影響力を持っている関係者を見つけて、何に強い関心を持っているかを把握することが決め手になります。

 

そのように観察していくと、技術、品質、価格、納期、機能など複数の課題が挙げられるでしょう。それらの中から優先順位を付けて、顧客にプロモーションしましょう。


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4つの目とは(その5 虫の目)

虫の目で大切なことは、3現主義(現場、現物、現実です。現場:現場に足を運ぶ。現物:現物を手にする。現実:現実を見る。鳥の目が広い視野で俯瞰するのに対し、虫の目では身近なところをしっかり観察するのです。

 

一般的に現場というと、製造業では工場の製造現場など自社の現場のことを指します。しかし、ここでは自社製品(部品)が使われている(組み込まれている)顧客の現場(工程など)も指します。

 

顧客の現場をよく観察することで、顧客からの仕様書や設計図からではわからない課題が見えることがあります。現場の人と話すことでより顧客を理解することができ、喜ばれる提案ができるかもしれません。

 

顧客の現場には営業担当者だけでなく、技術者・開発者も足を運ぶべきです。専門的な目で見ることで、より深い観察ができると共に、現場の人との会話も取りやすくなります。

 

保守サービスを行っているならば、サービスマンが顧客とできるだけコミュニケーションを取るようにしましょう。顧客の現場作業者は、同じ現場で作業するサービスマンに親近感を抱き、比較的本音を話してくれやすくなります。


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4つの目とは(その4 鳥の目による予測)

サプライチェーン・マップ作成によって、川上側の原材料の供給網と川下側の販売網全体の流れがつかめるようになります。そうすると環境変化による自社への影響を予測しやすくなります。

 

例えば、仕入れる部材に使用している原料の産地で天災が発生したというニュースがあれば、今後仕入に支障をきたすかもしれないと予測できます。直接の仕入先からアナウンスがある前に、対策を考えて先手を打てるかもしれません。

 

自社製品(部品)を組み込んだ最終製品が消費者向けのものならば、直接の販売先だけでなく、消費者の動向も観察しておくことで、将来の販売予測が立てやすくなります。工場の設備など最終製品が企業のケースもあります。その場合は、その業界の動向を見る必要があります。

 

このように、自社から遠いところに目を配ることによって先手で準備ができ、販売先や仕入先の要求に右往左往することが少なくなるでしょう。




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4つの目とは(その3 外部環境分析)

サプライチェーン・マップで自社製品の一連の流れを把握したら、そのサプライチェーンに影響する外部環境を分析します。マーケティングの視点だけから見れば、川下側(顧客側の下流)だけでよいと思われるかもしれません。しかし、川上側(仕入側の上流)はコスト、供給量、品質、納期などに影響します。

 

外部環境分析で便利なフレームワークがPESTです。

P(Politics):政治的要因:政策、法改正、規制緩和・強化など

E(Economy):経済的要因:景気、物価変動、雇用など

S(Society):社会的要因:社会不安、人口動態、流行など

T(Technology):技術的要因:クラウド化、AI、生産技術、技術革新など

 

例えば、自動車関連では、

P:各国が脱ガソリン車の方向を打ち出している。

E:EVに様々な企業が参入してきて競争激化している。

S:若者の自動車離れが起こっている。

T:自動運転の開発が進んでいる。

 

上記では各要因に1つだけしか挙げていませんが、分かる範囲で何項目か洗い出してみましょう。そうするとその外部要因によって、サプライチェーンの各企業にどんな影響があって、その企業がどう行動するかの予測がつきます。

 

とはいえ、分析にはそれなりの時間と労力がかかります。生産財の場合、製品が頻繁に変わることはないので、一度サプライチェーン・マップを作成すれば割と長く利用できます。

最初は一通りやってみて、次は大きく外部環境が変化したときに分析してみるというやり方で良いでしょう。

 

大事なことは、日頃から直接の顧客や仕入先だけにとらわれすぎず、その先が及ぼす影響にも常日頃から意識しておくことです。




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4つの目とは(その2 サプライチェーン・マップを作ろう)

鳥の目について、先ず第1に知っておきたいことをお話ししましょう。それは、自社を取り巻くサプライチェーンの全体構造を確認することです。サプライチェーンとは、原材料から製品になって販売に至るまでの流れのことです。

 

取引先には仕入先、販売先があります。自社を起点として仕入先側を川上、販売先側を川下と言います。とかく直接の仕入先や販売先だけに目がいきがちですが、サプライチェーン全体に目を向けることが重要です。

 

自社製品のサプライチェーン・マップを作成しましょう。原材料から何段階かを経て仕入れるなら、仕入先のその先の川上側をたどっていき具体的企業名や部品・材料名を入れたものが川上側のサプライチェーン。直接の販売先から自社製品が組み込まれた最終製品の顧客までの中間業者を含めた企業について、具体的企業名や製品名を入れたものが川下側のサプライチェーンです。

 

これによって、自社製品が原材料から最終顧客(消費者であることも多い)までの一連の流れが見えてきます。外部の環境変化によって、仕入先や販売先だけでなく、その先やまたその先の原材料・部品や消費者などの動向にどういう影響があるかを分析することで、打ち手が変わってきます。




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4つの目とは(その1)

2回前に「4つの目」の話を書きました。読んでいない方のために、4つの目とは何かを列記しますね。

 

鳥の目:全体を俯瞰して客観的に見る目

虫の目:現場、現物、現実を見る目

魚の目:トレンド(時代の流れ)を見る目

心の目:相手(顧客)の感情を見る目

 

この4つの目はマーケティングでは大変重要な見方です。具体的にどのように見るのか、ひとつずつお話ししていきます。今日は鳥の目についてです。

 

全体を俯瞰して客観的に見る目ということですが、視点を高くして見ます。視点の高さには段階があります。地球規模の視点、地域を限定した視点、市場や業界という視点にも段階があります。

 

ここでは、どんなことが起こっていて、それがどういう影響を及ぼすのだろうという観点で見ることです。例えば、新型コロナウイルスの影響は各方面に及ぼしています。自社や顧客にはどういう影響があるのだろうか。次回はこの続きをお話しします。




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今年は日本の生産財マーケティング元年

生産財マーケティングのメルマガを続けてきて、今更なんだと思われるかもしれません。しかし、超大手企業を除けば生産財の企業にマーケティングが導入されているとは到底言いがたい現状です。

 

これまで自動車部品業界は、系列の構造というサプライチェーンに組み込まれて、マーケティングの必要性がありませんでした。ところがそうは言っていられない状況になってきました。世界的にEVの比率を上げていく流れになったためです。

 

EVでは部品点数が大幅に減り、エンジン関連の部品をはじめとして不要になる部品が出てきます。これらの製造企業は新たな活路を見出していかなければ、生き残れなくなります。営業人員の強化だけでは大きな変化には対応できません。

 

これまでと違う業界の市場へも参入する必要性があります。そこで市場やその市場の潜在顧客を知ることが求められるのですが、そのための知識が生産財マーケティングです。自動車業界だけでなく、様々な業界で価値の重点がハードからソフトへ移るなどの地殻変動が起こっています。

 

欧米の生産財企業は、相当前からマーケティング活動を行っています。そこに対抗していくためにも、全社的な意識の切り替えを図るタイミングではないでしょうか。



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未来予測に頼りますか、未来を構想しますか?

年末年始の時期になると、新聞、雑誌をはじめとするメディアで1年後や数年後の予測を競っています。先が見えないから予測を参考にしたいと、多くの人が思うからでしょう。

 

そのような予測を少し参考にする程度ならよいでしょうが、その予測を基に会社の方針を決めるのは危険です。調査機関によって予測はまちまちですし、そもそもそんなに当たらないものです。リーマンショックや新型コロナなどの予測ができたでしょうか。

 

そんな他人依存ではなく、我が社はこうなりたいという将来構想を明確にして、そうなるように主体的に変化を起こす活動が求められるでしょう。世の中全体を変えるという大げさなことではなく、自社がやろうとする環境を変えていくことです。

 

一度決めたら変えないというのではなく、環境の変化にも対応できるような柔軟さも必要です。そのためには4つの目を持ちましょう。

鳥の目:全体を俯瞰して客観的に見る目

虫の目:現場、現物、現実を見る目

魚の目:トレンド(時代の流れ)を見る目

心の目:相手(顧客)の感情を見る目

 

重いテーマですが、年始に当たって一度考えてみませんか。


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価格は需要と供給で決まる

製品やサービスの価格の設定は案外難しいですよね。原価を計算して、それにいくらかのマージンを乗せて売価を決定したり、競合他社の同等品とほぼ同じ価格に合わせたりすることもあるでしょう。そして、価格競争になって利益がなかなか上がらないということにもなりかねません。

 

ここで、基本に立ち返ってみましょう。経済の原則から、供給を上回る需要があれば価格は上がります。身近な例では、石油の需要が急激に増大したので、ガソリン価格が高騰しましたね。

 

需給バランスという視点で、自社のビジネスを考えてみませんか。そうすると需要が大きい市場に目がいきがちですが、必ずしもそれが良いとは言えません。市場が大きければ、そこを狙って参入者が増えてきて供給過多になってしまうかもしれません。

 

逆にそれほど注目されない市場であっても、自社の技術やノウハウが発揮され、他社が参入しづらい分野であれば、需要>供給ギャップを作り出せます。




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こんなことって起こるんですね!

いやー凄かったです。サッカーの天皇杯。浦和レッズと大分トリニータの決勝戦に奇跡が起こりました。前半早々に浦和レッズが1点先取して、後半も45分過ぎ、このまま逃げ切るかと思っていました。ところが、大分トリニータが1点を返したのです。

 

アディショナルタイムの残り時間はほとんどなく、このまま引き分けでPK戦と思われたところ、何と浦和レッズが勝ち越しゴールを決め2対1で優勝するという信じられない試合。しかも、この最後のゴールを決めたのが、今季で浦和レッズを退団する槙野選手というレッズサポーターからしたら感動ものです。

 

大分に同点にされた時に、浦和のGK西川選手から槙野選手に「マキが前に上がってゴールを決めろ」と言われたとインタビューで語っていました。逆境であっても、最後の最後まであきらめずに最善を尽くせば、奇跡が起こりうるのだということを教えてくれた年末のプレゼントでした。大分トリニータも最後まで粘って、記憶に残る見応えのある試合でした。



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製品がどのように作られるか伝えていますか?

販売促進用にホームページやカタログに、製品の写真や仕様を掲載していると思います。ほとんどの企業は、出来上がった製品がいかに素晴らしいかをPRしています。もちろん最終的な製品は大事ですが、生産財の顧客は製品の出来だけを見ているのではありません。

 

製品を作っている企業自体も評価しています。製造に関する部分だけ取り上げても、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)ができているか。製造工程は効率的か。納期は守れるか。技術力は高いか。不良率は低いか。製品検査体制は十分か。等もチェックしています。

 

単発の取引ではなく、継続的な取引を行おうとする顧客なら当然でしょう。そのような顧客の視点に立てば、製造工程の現場の写真や説明、独自の技術や製造方法をホームページやカタログに載せることは効果的です。仮に製造工程が他社と同じであっても、先駆けて実施することにより顧客視点での違いを見せられます。



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見込み顧客とのコミュニケーションを取っていますか?

引き合いがあったけれども成約に至らなかった、展示会で話しはしたけれどもフォローができなかったというケースはあるでしょう。そのような企業は、貴社の製品・サービスに何らかの関心を持ったからアプローチしてきたのです。

 

たまたまその時は、購入するタイミングが合わなかっただけかもしれません。いつか取引してくれる可能性は高いと考えられます。それには関係を切らさないように、定期的にコミュニケーションを取るようにすると良いでしょう。

 

コミュニケーションを取る手段としては、相手との関係もありますが、まだあまり機が熟していなければ訪問や電話よりも、郵送のDM、メールなどの方が受け入れてもらいやすくなります。

 

送る内容は、営業的なものをガンガン入れるよりも、相手の役に立つような情報を「定期的」に提供して、すぐに商売にならなくても、信頼関係を築くつもりで長期的に見ていきましょう。情報提供は、思いつきで不定期ではなく定期的に行うことが秘訣です。そうして得られた顧客は単発の取引で終わるよりも、継続した取引関係につながりやすくなります。



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核となる技術をしゃぶりつくしていますか?

「NHKプロフェッショナル 仕事の流儀」でスタイリストの大草直子さんを取り上げていました。そこで「オォ」と思った場面がありました。何の変哲もないシャツの着こなしのバリエーションです。

 

ひとつは袖をまくり上げて腕を出して着る。そうすると腕が長く見えるのです。次は、下の方の前ボタンを外して、裾をたくし上げて、前身頃の部分を交差させ内側に入れ込みます。すると上体が上に上がったように見えて、足が長くなったように見せられるのです。

 

ひとつの素材から、いろいろな見せ方を生み出せるのだと気づかされました。技術に置き換えた例として、富士フイルムの写真の技術を化粧品に生かしたものがあります。今の写真はスマホやデジカメで撮ったデジタルですが、その前は写真フイルムに現像するものでした。

 

その写真フイルムの主成分はコラーゲンで、さらに微粒子をコントロールする技術、紫外線による色あせを防ぐ技術などが化粧品に応用できて、アスタリフトというヒット商品が生まれたのです。

 

分かりやすいように消費者向けの例を挙げましたが、生産財でもいろいろな角度から自社保有の技術やサービスを見て、もっとこういう使い方あるのではないかという発想からのブレイクスルーを起こしてみましょう。


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核となる技術を磨いていますか?

EVだAIだDXだと技術が全くひっくり返るかのように毎日報道されています。そんな情報に接すると、今まで培ってきた技術が全く役立たなくなるのではないかと心配されるかもしれません。

 

確かにその業界で不要になる可能性がないとは言えません。しかし、その業界での経験が深ければ、新しい技術が入ってきても自社に関連する分野で、業界や製品にとって何が課題か見つけられるのではないでしょうか。

 

自動車エンジン用のチェーン等を製造している椿本チエインという会社があります。EVでは不要な部品になってしまいます。そこで、同社ではエンジン用クラッチ技術を基にEV用のクラッチを開発しています。クラッチもエンジン車用の部品で、EVには不要と言われています。ところが、サーキット用EVや一部の市販車ではクラッチが使われており、技術動向によっては広く使われる可能性があります。

 

しっかりしたコア技術があれば、それを進化またはモディファイすることで新たな用途に応用することも可能になります。


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想定される問題について考えていますか?

米クリスマス商戦に関して、コンテナ船の滞留で品不足になる可能性があるという記事が新聞に載っていました。人手不足やコンテナを運ぶシャーシ(架台)が足りないなどが原因とのことです。

 

コロナ禍で物流が急減したときに人を減らしたが、ここにきて消費が急回復してきたことに追いつかないということかもしれません。物流の問題だけでなく、部品の製造が追いつかないという問題も起きています。

 

企業の中にはこれまで使っていた港以外も利用したりして、対策を講じているところもあるようです。このような行動がすぐ取れる企業とそうでない企業では、日頃の危機管理の意識の違いが出てきます。

 

災害が起きたときには、何か対策をしておかなければと思いますが、少し経つと日々の忙しさにかまけて忘れてしまいがちです。しかし、少なくともどうなるだろう、どうすれば良いだろうと考えておくだけでも大きな違いになるでしょう。原材料や部品の仕入の対策は如何でしょうか。


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人材への投資行っていますか?

「Aではじまり、Cでおわる~ 素材の会社はAGC」というTVCMで話題になっているAGC株式会社。ベストセラー本「両利きの組織をつくる 大企業病を打破する 攻めと守りの経営」のモデルになったB to Bの優良企業でもあります。

 

このような優良企業は、人材育成にかなり力を入れています。AGCでは「AGCのサードプレイス」という、どこかのカフェチェーンのコンセプトのような名称で、学びの場を設けています。

 

講演会や勉強会、モノづくりチャレンジ企画など、「成果を求めない、もっと自由な活動を」という楽しみながら学ぶ場を提供するものです。人材育成としては進んだ取り組みで、こういうことが実を結ぶのです。ここに至るまでには、様々な試行錯誤もあったでしょう。

 

AGCと同様の人材育成は難しいですが、「いいものを作れば売れるはず」と思っている企業は、生産財マーケティングで考え方を変える必要があります。経営者だけが分かっていてもダメで、社員に「顧客の課題を解決する」という意識が浸透する教育をしないと、顧客が求める良い製品・サービスとの乖離が生じます。

 

B to B企業ではこれまではマーケティングは軽視されてきましたが、これからは御用聞きのような営業スタイルでは、生き残ることも難しい時代です。日々の業務で大変かもしれませんが、先々を見据えた人材への投資を実施しましょう。


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異業種から学んでいますか?

商店街の一角で開業しているフェイシャルエステサロンのオーナーが、徐々に来店客が減少してきたことに頭を悩ませていました。過去に来店してくれた客に案内状を送っても、商店街でチラシを配ってもあまり効果はありません。

 

そこであることを思いつきました。フェイシャルエステは首までのケアなので、ネイルケアやマッサージを取り込めないかと。しかし、自分のサロンにはそんなノウハウはありません。

 

ではどうするか?その専門の人やサロンと提携すれば良いのではないか。自分のサロンにその専門の人に来てもらってもよいですし、相互に割引クーポンを渡したりしてお客さんを紹介し合うのです。馴染みのサロンから紹介されれば来店率は高くなり、新規顧客の獲得ができます。

 

あなたは、この事例を自社とは全く関係ないと思いますか?生産財企業とはかけ離れた事例ですから。同業他社の事例を真似た方がうまくいくでしょうか。同業他社を真似ても二番煎じで、同じ土俵で競争が厳しくなるだけです。

 

異業種で取り入れていて、自社の業界でやっていないことを導入すれば先駆者になれます。この場合、具体例を抽象化することで応用がききます。ネイルサロンと提携する(具体例)→自社以外の商品・サービスを取り入れる(抽象化)。その上で自社に当てはめます。補完関係の他社はどこか。相互の顧客を紹介するとメリットのある企業はどこだろうか。提携方法はどのような形があるか。

とんでもなくかけ離れたところから学ぶ、という自由な発想も時には必要ですね。




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良い製品・サービスの定義見直していますか?

市場を取り巻く環境は短期間に急激に変化しています。そのような中で、何が良い製品やサービスかを決める価値の重要度も変わります。それは技術革新による場合もあれば、顧客の意識の変化が原因の場合もあります。

 

大量生産の時代には、同じ製品を短時間に大量に生産できる機械の価値が高かったが、多品種少量生産の時代には、それぞれの製品を生産するのを切り替えるときの段取りがいかに容易かが重要視されるようになります。

 

実際にはもっと細かい違いの差が決め手になるケースが多いでしょう。そのため、これまで顧客がこれで満足していたからと安心していてはいけません。顧客の動向や変化を観察し続けて、いち早く対応できるような体制を考えましょう。



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キャッチコピーでのアピールポイントはひとつに絞る

良い製品やサービスを開発すると、その素晴らしい点がいくつもあって、顧客に全部伝えたくなります。商談でその特長を10も20も伝えれば、顧客はこれは素晴らしい製品・サービスに違いないと感じるとあなたは思うでしょう。

 

ところが人はたくさん伝えられると覚えられずに記憶に残りません。その結果あの製品・サービスは、何かあまり特徴ないものだねという認識になりかねません。

 

それに対して、ここが他社や従来製品・サービスとは全く違うということをひとつに絞って、わかりやすくアピールすることで強く印象に残ります。もちろん顧客の求めていることに合致することが前提です。

 

顧客の担当者が上司や他部署に承認を得るのも容易になるでしょう。その他の特徴も伝えたければ、このひとつの特長を実現するために、こういう品質にした、こういう機能を付けたなどとできるだけ関連性を持たせると良いでしょう。そこは小さな文字で記載して、ひとつの特長を際立たせるようにしましょう。



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工程の工夫もマーケティングにつながる

前回は脇役が用途を広げられるという話をしました。但し、特定の顧客向けの専用部品を製造している場合はどうなのかという問題があります。

 

工作機械で切削加工をする場合に、加工対象物(ワーク)を固定する部品にコレットチャックというものがあります。コレットチャックは加工対象物によって形状が異なります。そのため製品となるコレットチャックは相当の種類になります。

 

ある部品メーカーは、多品種のコレットチャックを超短納期で納品することで業績を伸ばしいています。通常ならば、材料から製品まで連続した工程で加工します。注文を受けてから製品になるまで、それだけの時間がかかります。

 

ところが、その部品メーカーは多品種であっても途中までの加工は同じなので、そこまでを仕掛品として在庫しておき、後加工でその顧客に合わせた形状に仕上げる仕組みにしています。そのため注文を受けてからの加工時間が短縮できるため、他社より短納期で納品できるのです。

 

納期だけではなく、この方法だと途中までは汎用品扱いにできるため販路を広げやすくなります。顧客の仕様が特殊だという場合でも、納期が短縮できてコストも安くなれば、交渉によっては多少の設計変更を認めてくれるかもしれません。


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主役と脇役どちらが潰しが効く?

先日カンブリア宮殿というテレビ番組で、ふりかけの「ゆかり」を製造販売している三島食品が出ていました。インタビュアーの村上龍が三島食品の会長に、日本人の米の消費量が減っているので、ふりかけは厳しいのではないかと少々意地悪な質問を投げかけました。

 

すると会長は、米は「主役」で消費が減ってくるとどうしようもないが、ふりかけは「脇役」で米以外にもパスタやうどん、魚、野菜にかけても使え、用途は無限だと答えていました。

 

確かに材料を少し変えるだけで、様々に応用できそうです。生産財でも最終製品を作っている企業は用途が決まっていて顧客が限定されますが、部品を納入している企業は異業種も含めて市場を広げられる可能性があります。

 

特定の顧客向けに専用部品を製作している場合でも、「うちは汎用品ではないから無理だ」とあきらめるのではなく、工夫の余地はないでしょうか。次回はそのヒントになるかもしれない話しをしたいと思います。




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お客様に欲しいものを聞いていませんか?

顧客のニーズをリサーチすることはビジネスの基本ですね。そこで「どんな商品が欲しいですか?」あるいは「どんな商品が必要ですか?」と見込み客に聞いてみて、「○○という商品が欲しい」と言われれば、それを提供するかもしれません。

 

ところがこの質問の仕方は、あまりよい方法とは言えません。なぜだと思いますか?人は自分がイメージできるものしか分からないからです。分かりづらいので例を用いてお話ししましょう。

 

まだ自動車が発明されていない頃、移動手段は馬でした。その時に移動するのに何が欲しいか聞けば、「もっと早い馬が欲しい」という答えが返ってきます。そこで、もっと早い馬を提供すれば一応のニーズは満たせます。

 

しかし、顧客は馬が欲しいのではなく、早く目的地に着きたいのです。ただ現実にある移動手段が馬なので、「早い馬が欲しい」と答えただけで、本当に欲しいものは分からないのです。

 

そこで質問を「解決したい課題は何ですか?」と変えることで、「早く移動したい」という願望を引き出すことができます。「その解決策は」を考えて発明したのが自動車です。

今、世の中にあるものしか顧客にはイメージできないので、顧客の課題を見つけることが全く新しい商品を生み出す源泉になります。




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宝の山をほうっていませんか?

顧客開拓というと、新規顧客をいかに見つけて営業するかということに目が行きがちです。確かに既存顧客だけを相手にして、新たな顧客を増やしていかなければ、徐々にじり貧になってしまいます。

 

しかし、これまで付き合いのなかった全く新しい見込み客に当社を知ってもらい、信用してもらい、購入してもらい、継続的に取引してもらうには相当のエネルギーが必要です。それは必要なことですが、その前にもっと可能性の高い方法があります。

 

それは、過去取引したことがある顧客で現在は顧客リストから外れている、いわゆる休眠顧客です。このような顧客は少なくとも当社を知っている点で、全くの新規見込み客より期待できます。

 

休眠顧客が離れてしまった理由は様々あるでしょうが、1,2度取引して特に不満はなかったけれど、間が空いてしまってそのうち忘れられたということも多いはずです。

 

そんなことあるかと思われるかもしれませんが、皆さんも凄く美味しいレストランに行ってまたいつか来ようとその時は思ったけれど、日々の忙しさの中でそのレストランをすっかり忘れてしまったという経験はないでしょうか。

 

きっかけがないと忘れたままになってしまうことが多いのです。一度、過去の顧客リスト(宝の山)を引っ張り出して何らかのアプローチを取ってみましょう。すぐに売上につながらなくても、定期的にコミュニケーションをとる(売り込みだけでなく、お役立ち情報を提供するなど)を続けていけば、また顧客に復活する可能性は高いでしょう。






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あなたは製品やサービスの販売者ですか?

あなたの製品ラインナップにいくつかのグレードがあるとしましょう。もし、新規の見込み客が、そのうちの高いグレードの製品を求めてきたら、あなたならどうしますか。(価格も利益率も高いので)喜んで販売するでしょうか。

 

製品やサービスの販売者だと自認するならそれでよいでしょう。しかし、あなたが顧客の課題解決のアドバイザー・エキスパートという認識であるならば、この見込み客がなぜその製品が欲しいのかを知る必要があります。

 

その結果、当初希望するグレードではオーバースペックで無駄が出てしまうとなれば、下位の安いグレードを勧めるべきです。そして、その顧客の変化や成長に合わせて提案するものを変えていきます。

 

あなたが製品製造販売やサービス提供者であっても、顧客にとって唯一無二のアドバイザーであり、専門家であり、相談者であるという立場を作り上げましょう。それが、信頼をもとにした継続的な関係性を築くことにつながります。






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売り方の革命

2021年8月29日の日本経済新聞に、ダイキンのエアコンの記事が載っていました。アフリカでのエアコンの売り方についてです。設置費用だけもらい、何と製品は実質タダ。使った分だけ課金するというビジネスモデルです。

 

これには私も驚きました。分割払いではなく、使った分だけ(約150円で1日使用できる)をモバイル決済で行う仕組みです。先行してアフリカでビジネスをしていた、WASSHA(東京大学発のベンチャー)による太陽光発電とLEDランプ貸出しのデジタル課金システムを応用したとのことです。

 

中国や韓国企業が低価格で販売しているが、保守体制が弱く10台のうち7台が故障している状態だそうです。使った分だけ課金の場合は、故障していたらお金を払ってくれませんから、保守体制も整うでしょう。そして、売切りと違って顧客とのつながりも続きます。

 

モバイル決済が普及しているとか、使った分だけ支払うことに慣れるかという条件はあるものの、画期的な販売方法です。美容室や飲食店向けから始めたので、B to Bビジネスと言ってよいでしょう。これまでの慣習・常識にとらわれずに発想してみる、コラボレーションしてみると新たなビジネスモデルが生まれるかもしれません。






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アンケートを活用しよう

顧客が求めていること、解決したいこと、自社製品の評価を知るための方法のひとつとしてアンケートがあります。消費者向けのアンケートはよくありますが、生産財企業ではあまり使われていないのではないでしょうか。

 

生産財企業においても、顧客からのフィードバックは貴重な情報になります。購入してくれた顧客に対しては、例えば

 

1.営業やマーケティングに関することとして これまで困っていたこと、購入した決め手、当社を知った方法、営業担当者の対応など

 

2.商品やサービスについて

 どういう点に満足か、どういう点が改善点か、抱えていた課題の解決に役立ったかなど

のようなことを業種業態に合わせて聞いてみると良いでしょう。

 

失注(注文が取れなかった)した企業にも、受注できなかった理由、何が足りなかったのかを、相手先の声として聞ける手段があると今後有効な打ち手が考えられます。

 

また、アンケートの質問として「非常に良い、良い、普通、悪い、非常に悪い」などに○をつけるというのは、あまり役立たないので記入形式にしましょう。

 

アンケートの実施では、相手に協力を得なければなりません。「アンケートにご協力ください」「調査にご協力ください」という依頼の仕方だと、面倒に思われて「いや、ちょっと」などと断られてしまうことも多いでしょう。

 

そこで、「是非アドバイスをください」というお願いの仕方にすると、相手をリスペクトしているという姿勢を見せることになるので、協力が得やすくなります。質問内容を工夫して、顧客や潜在顧客から有益な情報を入手して活用しましょう。





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顧客が伝道師兼アドバイザー

8月5日のカンブリア宮殿というテレビ番組で、平安伸銅工業を取り上げていました。この会社は突っ張り棒でトップシェアの会社です。現社長は三代目で創業者の孫娘です。引き継いだときは20年間商品はほとんど変わっておらず、業績は落ち込んでいたそうです。

 

新商品開発しようと社員にアイデアを求めましたが、既存のちょっとした改良程度でこれだというものが出てきません。そこで、外部のデザイナーに協力を求めたところ、収納というカテゴリーではなくインテリアとしての使い方を提案されDRAW A  LINEというブランドが誕生しました。それから突っ張り棒の使い方の様々なアイデアにより、業績が回復したとのことです。

 

もう一つの取り組みとして、「つっぱり棒研究所」を設立して、つっぱり棒分野の「研究」「教育」「啓発」を行い「つっぱり棒文化」を広げていることです。ここでは、YouTubeなどのSNSを使って、突っ張り棒の使い方やユニークな活用方法を紹介したり、「つっぱり棒認定マスター講座」を開いて正しい使い方や便利な活用方法を教えています。

 

「つっぱり棒認定マスター講座」を受講して試験に合格した人を「つっぱり棒マスター」として認定して、専門コミュニティに参加したり、最新情報を受け取ったりできるとのことです。この「つっぱり棒マスター」の人たちが伝道師となって、周りの人に紹介してくれるという役割を果たしてくれます。専門コミュニティでは、それぞれのアイデアや工夫であったり、商品開発のヒントを共有する場になっています。

 

このようなユーザーのコミュニティをつくってアイデアを共有する、Q&Aをコミュニティで行うという取り組みは、顧客を増やしたり商品開発に生かす上で一考に値すると思います。







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ある重要なキーワード

8月9日の早朝にNHKラジオ深夜便を聞いていたら、アメリカ人が広島で原爆を伝える平和活動をしているという話をしていました。メアリー・ポピオさんという28歳の女性です。

 

なぜ、アメリカ人が広島の原爆を通した平和活動に取り組んでいるのかと興味を持って聞いていくと、ひとつのキーワードが出てきました。それは「自分ごと」です。

 

メアリーさんがこの活動に取り組む大きなきっかけとなったのは、ある被爆者の話を聞いたことでした。その被爆者は自分の家族の家系図を見せて、両親や兄弟が被爆の後遺症のガンで苦しんで亡くなったことを話しました。メアリーさんは、もし自分の家族がそんな目に遭ったらどうだっただろうと「自分ごと」として考えたそうです。

 

人の体験・経験を共感し「自分ごと」として捉えたことが、活動の原動力になったのです。外国人に広島の原爆を「自分ごと」として捉えてもらえるように伝え、平和活動につなげることが、アメリカ人の自分の生きがいだと思わせるに至ったとのことです。「自分ごと」として考えてくれるメアリーさんだからこそ、被爆者の方々も積極的に協力しています。

 

「自分ごと」という考えがいかに人を動かすか。「自分ごと」つまり、自分が相手の立場だったらという、相手の立場に立って考えるということはビジネスにおいても変わりません。

 

自社の商品をどう売り込むかではなくて、相手の課題を「自分ごと」として捉えて、どう解決するか、自社商品で解決できるならどう伝えるか、もしくは解決するための商品開発を考えることがポイントになるでしょう。








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フレームワークの罠

フレームワークとは論理的な思考をするための枠組みで、ビジネスでは共通に使えるものが数多くあります。マーケティング関連だけでも、PEST、5フォース、3C、SWOT、STP、4P(4C)、バリューチェーン、AIDMA、AISASなどがよく使われています。

 

ビジネス書の中にもフレームワークを紹介した本が多く出版されています。このようなフレームワークを知ることは大いに結構なのですが、使う上で注意しなければならないこともあります。

 

企業分析の定番のSWOTを例にとってお話ししましょう。企業の内部分析として、S(Strength強み)、W(Weakness弱み)、外部分析としてO(Opportunity機会)、T(Threat脅威)の4つを分析するものです。ほとんどの場合2x2の四角の枠の中にS、W、O、Tとして挙げられた項目を、それぞれ箇条書きにして入れていく方法が取られます。

 

そして、クロスSWOTでSxO(強みで機会を生かすには)、SxT(強みで脅威に対処するには)、WxO(弱みを補強し機会を生かすには)、WxT(弱みを補強し脅威に対処するには)などの戦略を立案する手法が多くとられます。

 

確かに、論理的で知ってしまえば誰にでも使えそうです。ほとんどの場合、4つの枠の中に箇条書きで何項目かを入れて、分析できた気になります。研修での事例研究などではそれでもよいでしょう。

 

しかし、実務で使うには不十分です。強みや弱みとしてあげられた項目は、状況によって、見方によって逆にもなり得ます。どういうときに強みか弱みか、強みや弱みの理由は、表面的な強みを引き出す元になっているものは何か、強みや弱みに分けられない企業文化・想いなど4つの枠に収まらないことがまだまだあるのです。

 

枠の中に入れて考えるのは分かりやすく、枠を埋めたら達成感も得られるのですが、それだけでは表面的です。考える枠組みとしてのフレームワークは大変有効ですが、フレームワーク万能でなくその限界を知り、もっと深掘りして考えるようにしましょう。

 

実は、トップページで紹介している著書「よくわかる 生産財マーケティング入門」顧客との関係性を強固にするには? ではマーケティング書では異例ですが、考え方は入っていますが、いわゆるフレームワークは紹介しておりません。入門の入門書という位置づけなので、始めからフレームワークありきという思考になって欲しくないという想いがあるからです。

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「顧客はドリルが欲しいのではなく、穴である」は本当か?

マーケティングの「ドリルの穴理論」としてよく語られている話があります。ご存じの方もおられると思いますが、簡単に紹介しましょう。

 

ドリルを買いに来る顧客は、ドリルという商品が欲しくて買うのではなく、ドリルによって開ける穴が欲しいのだという主張です。顧客は商品というモノを買うのではなく、その商品が提供するベネフィット(価値、恩恵)を購入するのだという顧客志向の考え方です。

 

そのため、売り手はドリルのスペック(大きさ、重さ、性能など)を説明するよりも、どういう穴を、どんな材質のものに、何個開けたいのか、誰が使うのかなどを聞いてそれに適したドリルを勧めましょうという話です。

 

確かに、穴を開けたいという顧客の要望に添った対応ですが、それで十分でしょうか。そもそも顧客は、なぜ穴を開けたいのでしょうか。2つの壁に挟まれた空間に棚を作るために、穴を開けたいのかもしれません。

 

それならば、穴を開けずに突っ張り棒を使うことやそれを組み込んだ棚を使う方法も提案できるでしょう。つまり、ドリルも穴も手段であって、目的が何かを確認すればより最適な解決策があるかもしれないのです。顧客は穴を開けるのが解決策だと思い込んでいるかもしれません。そこで、顧客の本質的な課題を知るために、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。


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クレームを顧客とのコミュニケーションに生かす

前回のクレームの話題つながりで、今回もクレームについてです。顧客からのクレームにより、その対応に顧客を訪問することがあります。訪問する人は営業であったり、製造部門の人であったりするでしょう。特に製造部門の人は、納品の時やクレーム対応の時ぐらいしか顧客の現場を訪れることはありません。

 

営業以外の人が顧客を訪問し直接コミュニケーションを取ることは重要です。クレーム対処後に「他に気になることはありませんか?」と一言付け加えることを習慣づけしましょう。終わったらすぐに帰りたいし、こんなこと言うと仕事が増えると心配するのはわかります。

 

しかし、この一言があるとないとでは顧客の受け止め方に雲泥の差があります。それによって信頼感が増しますし、コミュニケーションのきっかけになります。相手側も製造部門の担当である場合が多く、同じ現場担当同士で信頼できるとなれば情報共有しやすくなります。

 

場合によってはクレームとは関係なく、今困っていること、競合の評価などを聞けるかもしれません。現場の生の声で、商談の場では出てこない貴重な情報が得られることもあります。

 

クレーム対応者が帰社したら、クレーム処理報告書の提出だけでなく、上司や営業担当者が直接話しを聞く場を設けましょう。文書で提出となると書くのも大変で、抜け落ちることも多くなります。折角、顧客から聞いたことを埋もれさせてはいけません。これらをもとに顧客に提案すれば、より顧客との関係性が深まるでしょう。



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クレームによって信頼性を増す

今日は私の体験をお話ししましょう。先日Amazonである商品を購入しました。配達が手渡しではなく、玄関先に置き配という設定になっており到着を待っていました。配送業者から「お届けしました」というメールが来たので外に出て確認しましたが、どこにもありません。

 

その到着メールのリンクを数回クリック(タップ)すると、問い合わせページに行き、カスタマーサービスがチャットや電話で対応するようなシステムになっていました。チャットを選択すると、すぐに担当者名と状況確認のチャットが来ました。

数回のやりとりで、「返金しますので再注文をお願いします。」という申し出を了承しました。

 

これが顧客の立場に立ったプロセスだと感心したと共に、クレーム処理により会社の姿勢や教育状況が見えると思いました。

 

Amazonの場合、問い合わせのプロセスの設計がよくできています。一般的にネット注文でクレームを伝える場合、正確な注文商品名や注文番号などを調べてクレーム受付先に問い合わせると思います。注文番号を調べたりするのは面倒なのですが、Amazonでは到着メールのリンクから該当注文に関する問い合わせにクリック(タップ)だけで行き着けます。

 

担当者の応答も早くて丁寧です。配送業者に問い合わせたが、再配達はできない状況のようでした。ある程度の金額までの権限を任されていると思われ、返金処理はスピーディーでした。この一連の処理で、注文品が届かなかったのは残念でしたが、そのプロセスは顧客の感情や立場にたった対応がなされていると認識しました。

 

クレームになるような状況はなくすようにしなければなりませんが、その対応によって顧客を失うか逆にファンをつくるか天と地との差になります。

 

後日談として、配送業者から遅れて配達時の写真が来ましたが、別の家の玄関でした。誤配送だったようです。



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PESTとは

マーケティングでは、顧客を知るために顧客の外部環境分析を行いましょうとお話をしました。もう少し詳しく掘り下げてみましょう。多くのマーケティングの本では、自社の分析のために、いろいろなフレームワークを紹介しています。

 

このフレームワークを顧客分析にも応用しようということです。外部環境分析のフレームワークのひとつにPESTというものがあります。

 

PSETとは、Politics(政治) Society(社会) Economy(経済) Technology(技術)の頭文字をとったものです。

 

Politics(政治)では、政策、法律、税制などの観点から顧客にどのような影響があるかを分析します。規制緩和・強化、国として強化する事業分野などに注目してみましょう。

 

Society(社会)では、人々の考え方や行動の動向の影響があります。自然環境に関心が高まっている、リアルからバーチャルへの比重が高まっているなどもそのひとつです。生産財を辿っていくと、最終顧客は消費者になることが多いので、消費者の動向も重要です。

 

Economy(経済)では、経済成長、為替・株価など国内外の経済の観点からの影響をみましょう。好景気や景気低迷と言っても、業種や個々の企業によってまだら状態なので、十把一絡げでみないことです。円安・円高の影響も輸出入、原材料価格に影響を与えます。

 

Technology(技術)では、技術の進歩、革新の点から影響を考えます。昨今の急速な技術の進歩は、従来の延長では考えられない技術が突然発表されることも珍しくありません。



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「聞く」と「聴く」

顧客を知るために顧客の話しを聴くことは非常に重要です。顧客の言うことを漫然と聞くのではなく、その肝となることは何かをつかむために聴くのです。「聞く」と「聴く」の違いは、「聞く」は音や声が耳に感じるというニュアンスで、「聴く」は聞こえるものの意味を理解しようとするというニュアンスを含んでいます。

 

そのため、「聞く」は容易にできても、「聴く」はどこまで深く理解できるかが人によって大きく差がつきます。聴き手の知識・経験、これまでの生活・仕事環境による考え方のバイアスが影響します。

 

しかし、聴く力はトレーニングによって向上します。私のおすすめは、聞きっぱなしにするのではなく、アウトプットすることです。例えば、会議では書記としてホワイトボードに発言を要約したり、議事録を作成したりすることです。

 

より実践的なトレーニングとして、テレビ番組の「カンブリア宮殿」や「ガイアの夜明け」を見ながら、その要点をまとめるのはお勧めです。この時注意することは、自分の思い込み(こうあるべきだ、こういうはずだ等)を横に置いておき、極力ニュートラルに受け止めようと努力することです。

 

このようなことの積み重ねによって、顧客が何を言いたいのかを率直に受け止め、その本質を把握できるようになります。


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設備投資回復?

2021年6月21日付の日本経済新聞に「設備投資回復10.8%増」という記事が載っていました。新型コロナウィルス感染拡大前の水準に戻るそうです。これで景気が回復すると単純に喜んで良いとは限りません。

 

10.8%増と言っても平均値であって、業種によってバラツキが大きいのです。自社に関連する業種の動向を見極める必要があります。

 

設備投資の中身も従来の設備投資と、コロナウィルスの影響後のものとはかなり変わる可能性があります。そのためには、コロナを経験したことにより顧客はどう変わるのかという調査・観察により短期的、長期的な方向性を把握してそれに対応できる準備をしましょう。

 

変化が大きければそれだけチャンスも増えます。そのチャンスをつかむために何をしたらよいかを考えるときです。


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WEB営業の利点

コロナ禍で営業スタイルが大きく変わったという企業も多いのではないでしょうか。これまでは対面営業が主体で、顧客企業を訪問して調達担当者や技術担当者の要望を聞いたり、こちらからの説明、提案を行ったりしていたと思います。

 

それが緊急事態宣言などが発出されたりして、外出自粛により訪問営業ができにくくなる事態になり、WEBを介しての営業や打合せに切り替えざるを得なくなったこともあります。

 

WEBでの営業では、相手の表情がつかみにくいとか、雑談がしづらく相手との距離を縮めるのが難しいといった難点もあります。

 

しかし、使い方によっては訪問しなくて良いという利点を生かすことも考えられます。

生産財マーケティングでは、全社的に顧客との関係強化することが重要だとお伝えしています。

 

従来は営業が顧客を訪問・打ち合わせして、その内容を技術担当へ伝えるというのが主流のプロセスが多いと思います。それが、WEB商談では移動しなくて良いため、忙しい技術担当者が居ながらにして顧客と直接話す機会が持てるのです。このことで、従来は打合せに参加する機会が少なかった部門の人同士の交流、情報交換が活発になることが期待できます。


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アズワン

前回の第30回までで一通り生産財マーケティングの概要はお話ししてきました。

これからは、生産財に関連するトピックを取り上げていこうと思います。

 

理化学機器の総合商社のアズワン株式会社という企業があります。研究所等に研究用機器・消耗品を提供したり、エレクトロニクス等の生産施設等に無塵手袋や工具等を提供したり、看護用品等を提供する病院・介護用品分野へも進出しています。

 

そのような機器・消耗品の提供方法としてカタログ販売に加えて、インターネット購買システム(OCEAN)を推進しています。顧客が本社・研究所・事業所などがパラパラにしかも販売店経由、FAX、WEBなど発注形態も様々なものを一括して管理できるようなシステム化するというものです。

 

それにより、顧客のメリットとして

・購買の実態が把握できるようになる

・商品探し~支払までの手間が削減できる

・調達ルールや調達フローの見直しができる

といった課題を解決するのに役立つということです。

 

導入費用は原則無料で、顧客の既存システムにも連携するようにもできるので、購買品の管理の効率化に役立つと思われます。


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プロモーション(3)

前回は展示会についてお話をしました。今日はプロモーションで使うメッセージについてお話しします。

 

広告、カタログ、ダイレクトメール、WEBサイトなどの媒体によって目的が異なるので当然メッセージも違ったものになります。媒体以上に注意すべきは、そのメッセージは誰に対してのものかです。

 

これまでお話ししてきたように、「購買センター」の構成員は同じ社内であっても、それぞれに重視している視点が異なります。ですから、届ける相手とメッセージの内容がマッチしていなければ効果は上がりません。

 

経営者層に対しては知名度向上や信頼感を高めるメッセージであったり、技術者に対しては製品・サービスの詳細を伝えるメッセージであったりするでしょう。

 

メッセージの内容は相手によって変わりますが、メッセージの考え方は共通しています。顧客の課題をどう解決するのかを伝えることです。製品やサービスのスペックや特徴を表現するだけでなく、それを購入すると課題解決にどう役立つのかを明示するようなメッセージが決め手になります。

 

製品・サービスありきの発想ではなく、顧客の課題解決ありきの発想です。顧客の立場で、それを購入したらどうなるの? 何が変わるの? どういう結果が得られるの?を繰り返し問いつづけることでより突き刺さるメッセージが生まれてきます。

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プロモーション(2)

前回は広告についてお話をしました。今日は展示会についてお話しします。

 

展示会は生産財企業にとって、潜在顧客・既存顧客に接触できる大変有効な手段です。展示会に出展するメリットとしては、

 

・多数の来場者に一度に製品・サービスを披露することができる

・来場者が製品を直接手に取ったり、直接サービスを体験したりできる

・製品・サービスを前にして直接質疑応答ができる

・潜在顧客のリストが手に入る

・展示会場でプレゼンテーションを行う機会がある

・競合の情報収集ができる

・営業部隊の士気向上が図れる

 

 

上記のようにメリットは多いのですが、それを活かすには事前の計画が必要です。そのために次の点を明確にしておきましょう。

 

(1)展示会に出展する目的

(2)来場して欲しい対象者

(3)事前の広報の方法

(4)どの展示会に出展するのが効果的か

(5)展示会終了後のフォローアップをどう行うか

 

自社のブースでは、来場者に対して営業部員による説明を行いますが、よほど関心がなければ長時間滞在しません。そのため、数分で要点がわかるようなトークスクリプト(台本)やプレゼンテーションを用意しておくと良いでしょう。

 

新型コロナウィルスの影響で、従来リアルで行っていた展示会をオンラインに切り替えるケースが増えてきました。リアル展示会の場合は、歩く動線にブースがあれば、ふと立ち寄る可能性がありました。オンラインでは、それは期待できません。オンライン展示会の来場者が訪れるページを選択する際に見る出展者紹介で、来て欲しい来場者にフィットするメッセージ(製品・サービス名だけでなく)を載せましょう。

 

オンライン展示会のページでは、製品・サービスの写真だけでなく、動画による実演・説明を入れることで、リアルの展示会と同様の効果が得られます。ここでの説明は、製品・サービスの特徴だけでなく、顧客が聞きたいと思うようなことを盛り込みましょう。既存製品であれば、これまでの商談で出た質問、新製品ならば事前に見込み客にヒアリングしてみる等から得られます。



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プロモーション(1)

前回は間接流通についてお話をしました。今日は販売促進(プロモーション)についてお話しします。

 

生産財マーケティングにおいてのプロモーションの種類としては、広告、カタログやパンフレット、展示会、Eメールを含むダイレクトメール、WEBサイト、パブリシティ、人的販売などがあります。それぞれに特徴を生かした役割があります。

 

生産財は一般的に成約までに長期間を要するので、プロモーションを実行したからすぐに売上につながるわけではありません。そのため、それぞれのプロモーションの目的と誰に対して行うかを明確にしないと効果は出ません。

 

(1)広告の役割

広告は営業活動と連携するとより効果を発揮します。製品・サービス、会社の知名度向上、自社製品・サービスを頻繁に思い出させる、営業が接近しにくい購買意志決定者への認知などにより販売活動の効率化の役割があるためです。

 

(2)広告媒体

消費財ではテレビCMが真っ先に思い浮かびますが、生産財では大企業の人材採用目的のイメージ広告以外はほとんど見かけません。見込み顧客は一般消費者向けではなく、業界の限られた企業等だからです。

 

よく利用されるのが、業界紙・雑誌で比較的幅広い層を対象としたビジネス系のものと、ある業界に特化した専門系のものがあります。それぞれ読者層が違うので、広告内容もそれに合わせる必要があります。専門系の新聞・雑誌では製品・サービスの詳細や専門用語を使った広告も効果的なことがあります。



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流通(チャネル)(2)

前回は流通(チャネル)についてお話をしました。今日は間接流通についてもう少しお話しします。                                                                                                            

 

日本では間接流通、すなわち製造業者が顧客への販売に流通業者を利用する場合に最も多いのが販売代理店です。多くが地場の商社などで、狭い地域で様々な製造企業の製品を、様々な業界の多くの顧客に販売しています。

 

販売代理店の役割は、潜在顧客の開拓(その代理店が扱っている他の製造企業の製品の販売先を含む)、製品・部品・工具の販売、技術的アドバイス、緊急対応などがあります。製造企業にとって、自社の機能の一部を補完することから関係性の構築は重要です。

 

販売代理店には、生産財の幅広いニーズを満たす広範な製品(さらに消費財も扱うこともある)を取り扱う代理店と、ある一部の製品ラインを専門に扱い、高度な技術知識を持つ専門代理店があります。(かつて私が勤務していた商社の機能は後者になります)

 

そのような販売代理店はルートセールスを行っており、顧客の状況を把握しています。顧客としては仕入先の製造企業ごとに仕入れなくても、代理店1社に依頼すればほとんど扱ってくれるというメリットがあります。

 

サプライヤー(製造業者)は自社だけでは販売できない地域や業界に販売代理店を利用しますが、販路拡大につれて販売代理店の数も増えてきます。そこで重要なことがチャネルの管理です。個々の販売代理店にどの機能を委託するのか、どのテリトリーを任せるのかの線引きが必要です。そうしておかないと販売代理店同士の顧客の取り合いになったり、直販との利害対立などが生じます。また、販売代理店等との信頼関係構築・維持のため定期的なコミュニケーションは欠かせません。


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流通(チャネル)

前回はコストについてお話をしました。今日は流通(チャネル)についてお話しします。                                                                                                                              

 

流通(チャネル)とは販売ルートのことですが、マーケティングでは一般的にチャネルという用語を使います。チャネルの役割は、潜在顧客の開拓、契約、物流、アフターサービス、現地在庫保管などです。製造企業が直接行う場合もあれば、流通業者に全部または一部を任せる場合もあります。

 

チャネルの構造としては、大きく分けて2つあります。直接流通と間接流通です。直接流通は文字通り、製造業者が流通業者を使わずに販売からその他すべてを遂行するものです。間接流通は、一種類以上の流通業者を使う方法です。チャネルの検討に当たっては、販売活動全体の中のどの活動を自ら行い、どの活動を任せるかの線引きをはっきりさせることが重要です。

 

(1)直接流通

直接流通が適するのは、①顧客が大口で特定されている ②顧客の経営幹部との交渉が必要 ③製品が複雑で高度に専門知識が必要 ④カスタマイズした製品・サービス 等の場合に効果的です。

 

(2)間接流通

間接流通が適するのは、①顧客の数が多くて分散している ②販売金額が低い 等の場合です。顧客の数が多くかつ小規模な場合、顧客管理・与信管理が膨大になります。1件当たりの販売金額が低ければ、営業の効率が上がらず費用対効果が悪くなります。このようなことから、大口顧客は直接流通、それ以外は間接流通という形を取る企業も多くあります。


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コスト

前回は価格についてお話をしました。今日はコストについてお話しします。

 

(1)固定費と変動費

コストを考える上で、固定費と変動費の概念は欠かせません。固定費とは売上の大小にかかわらず一定にかかる費用で、人件費や減価償却費などです。変動費は売上に比例してかかる費用で、材料費、部品費、外注費などです。

 

製品1個当たりのコストを考えると、販売量が多くなればなるほど1個当たりの固定費が低減します。一方、変動費は販売量にかかわらず、1個当たりの額は変わりません。そのため、固定費の割合が大きい事業ほど量産による価格低減効果が望めます。

 

(2)販売価格と原価

伝統的な価格設定法のコストプラス法は、製造にかかる単位原価を計算して、それに利益を上乗せした金額を販売価格として設定します。この方法が通用するケースもありますが、需要動向や競合動向を加味していないため、採用するのは難しくなっています。

 

市場で競争優位に立つための価格設定方法に、目標原価計算を採用している企業が増えています。目標原価計算を行うためには、先ず魅力的な市場セグメントの顧客が求める価値をしっかり把握します。そして、それに見合うと顧客が認識する価格を販売価格として、そこから目標原価を設定する方法です。



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価格

前回はサービスの特徴についてお話をしました。今日は価格についてお話しします。

 

(1)価値分析

価格を考える上で、製品・サービスの価値を顧客にきっちり伝えるようにしなければなりません。前々回で述べたように、顧客に提供するのは製品・サービスそのものの特徴だけでなく、それに付随するオペレーションの価値も含めた総体的な価値です。

製品・サービスそのものに含まれる様々な価値と、それに付随して提供するオペレーションの価値を分析しましょう。

 

(2)顧客コスト

一方、顧客(買い手)にとってのコストは、大きく分けて3つあります。取得コスト、保有コスト、使用コストです。内訳は製品・サービスによって異なりますが、以下のようなものがあります。

①取得コスト:製品・サービス価格、発注等に伴う事務処理費、輸送費、受入検査費
②保有コスト:保管コスト、保険料、陳腐化・廃棄ロス
③使用コスト:設置費、トレーニング費用、オペレーター人件費、使用に伴う動力費、消耗部品費、メンテナンス費、処分コスト

 

顧客のコストを考えると、製品・サービスの購入価格だけでなく、それ以外に様々なコストもかかってきます。競合との価格比較をする場合に、単純に購入価格だけでなく、(1)価値分析の内容と(2)顧客コストの評価が、その製品・サービスの総合的な価値と総コストになります。


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サービスの特徴

前回は「製品・サービスの差別化」についてお話をしました。今日はサービスについてもう少しお話しします。

 

サービスは大きく分けて2種類あります。製品に付随するサービスと単独で提供されるサービスです。製品に付随するサービスの例では、製品のメンテナンス、製品の利用方法や技術相談、製品利用のためのトレーニング、流通・配送、保守・消耗部品などがあります。

単独のサービスは、会計処理、市場調査、人材派遣、コンサルティング、警備保障、金融、情報処理などなどさまざまでその種類も増えています。

 

前回でも触れたように、製品を販売する企業でも製品だけではなく、製品に付随するサービスが顧客の目から見た差別化になるので、トータルサービスの充実は大変重要です。

 

また、製品とサービスには以下のような違いがあります。

(1)製品には形があるが、サービスには形がない

(2)製品は生産と消費(利用)には時間的なズレがあるが、サービスはその提供と利用は同時である

(3)製品は保存ができるが、サービスは保存できない

(4)製品は品質の標準化ができるが、サービスはバラツキが大きい

(5)製品は所有できるが、サービスは所有できない

 

以上の特徴により、製品とは異なるマーケティングの考え方が必要になります。


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製品・サービスの差別化

前回は「顧客から自社がどう見られるか」についてお話をしました。今日は製品・サービスの差別化についてお話しします。

 

生産財の場合、用途が決まっているため消費財に比べて、一般的に自由度は低いと言えます。

原材料や部品のように製品製造に使われるものは、買い手からスペックが提示されるため、改善提案を行う余地があるとはいえ、それほど大きな違いを出すことは容易ではありません。それに対して、製品製造機械やオフィス機器・用品などは特徴を出しやすいでしょう。

 

既存製品・サービスの差別化を見直す場合、新製品・新サービスの差別化を考える場合に、以下の手順が考えられます。

(1)競合製品・サービスを特定する

(2)顧客が製品・サービスを選定する最重要な基準を選定する

(3)既存顧客・潜在顧客から(2)の基準の評価データを集める

(4)対象の市場セグメントで競合製品・サービスと比較して、差別化ポイントを見極める

(5)対象の市場セグメントの顧客とその差別化ポイントの適合性を調べる

(6)その差別化ポイントを実際の製品・サービスに展開する方法を考え・実行する

 

上記の(2)と(3)では、自社で認識している購買基準と顧客が知覚している購買基準が異なることがあるのを確認するためです。

 

競合製品と比較する場合に製品そのものの特徴だけでなく、それに伴うオペレーション、例えば、注文が容易にできる、納期が非常に短い、アフターサービスが充実している、取扱説明書がわかりやすいなども評価の対象になることも考慮しておきましょう。




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顧客の視点

前回は「細分化した市場の選定」についてお話をしました。今日は選定した市場で自社をどう認識してもらうかについてお話しします。すなわち、他社と比べて何が違うか、どんな特徴があるかを既存顧客や潜在顧客に認知してもらうことです。

 

消費者の購買においては商品の比較が中心になりますが、生産財マーケティングでは企業そのものの実態が大きな比較要素になります。買い手が購買を決定する上では製品・サービスの評価とともに、それを製造・提供する企業についても詳しく調査するのが一般的です。

 

継続的に取引する場合は特に、そのサプライヤーは技術力があるか、安定供給可能か、信頼に足る企業か、サービス体制は充実しているか、担当者は知識豊富で適切な対応をしてくれるか、など対象製品以外の要素について検討します。そのため、製品・サービスという表面に出るものだけでなく、企業の総合力も見られているという意識を持つ必要があるのです。

 

ということは、営業やマーケティング担当者だけでなく、全社員が顧客の課題解決に役立とうというマインドを持ち行動することが大切で、それは顧客にも伝わります。継続的に取引を望む買い手なら、そのようなサプライヤーと付き合いたいと考えるでしょう。だからといって、お客様は神様ですというような無理難題も聞きましょうということとは違います。

 

顧客を徹底的に知って何が必要なのか、そのために自社は何ができるのかを全社的に考え、それぞれの部署で取り組むという企業風土を作り上げることです。優良顧客ならそれを感知して、高い評価を与えてくれるでしょう。



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市場の細分化(3)

前回は「市場を細分化する基準の条件」についてお話をしました。今日は細分化した市場の選定についてお話しします。全体を基準に従っていくつかのセグメント(区分)に分けてから、そのうちのどのセグメントをターゲットにするかです。

 

このセグメントの選定は慎重に行う必要があります。生産財の場合はあるセグメントから別のセグメントに移るのは容易ではありません。顧客との取引は継続的に行われ、かつセグメントごとのニーズが大きく異なります。セグメントの変更に対応するにはマーケティング戦略全体の見直しが不可欠になるからです。

 

セグメントの選定に当たっては、セグメント自体の魅力と自社のマーケティング戦略・経営資源のマッチングの観点から評価します。セグメント自体の魅力とは、市場規模、成長性など一般的に見た市場としての魅力のことです。それと同時に自社がそのセグメントに向いているかどうかも考慮すべきで、一般的には魅力的なセグメントでも自社にはマッチしないこともあり得ます。

 

長年にわたって大きな収益をもたらしてくれる重要顧客が、どのセグメントに存在するかも大きなポイントです。重要顧客とは緊密な関係を継続するために、相応の経営資源を投入しなければなりません。同じセグメントには類似のマーケティング活動が有効な潜在顧客も存在するでしょう。





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市場の細分化(2)

前回は「市場の細分化」についてお話をしました。今日はその続きです。細分化の基準は、1.測定可能であるか、2.十分な市場規模か、3.有効な戦略が打てるかを条件にすると良いということでしたね。それぞれについて掘り下げてみましょう。

 

1.測定可能であるか

市場を細分化する基準が数値等でとらえられるかということです。企業規模であれば、従業員数、売上高など、地域なら自社からの距離、○○地方、○○県、○○市など客観的な基準かどうかです。

 

2.十分な市場規模か

市場を細分化すればするほどその市場の特徴は際立ちます。しかし、ひとつひとつのセグメント(区分)を小さくしすぎると、市場規模は小さくなりすぎてそこに投下するコストと収益が見合わなくなります。適度な大きさの細分化が必要です。但し、現在の市場規模だけ見るのではなく、将来拡大しそうな市場なら着目しておくことです。

 

3.有効な戦略が打てるか

製品・サービス、広告・販促活動、チャネル(流通)、価格などのマーケティング戦略がそのセグメントに対して有効にはたらくかどうかです。

 

このような条件を基に細分化の基準を決定し、市場を細分化することにより自社のマーケティングにマッチする市場を特定することができます。




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市場の細分化(1)

前回は「ロジスティクス」についてお話をしました。今日から市場についてのお話をしていきます。ところで、市場とは何でしょうか。一般的にイメージするのは、魚市場、青果市場など実際に商品を取引する場所ですね。

 

ここでは、「商品が売買される範囲、販路、マーケット」という抽象的な意味の市場のことです。この市場の中から対象となる潜在顧客と取引するわけですが、自社に合う潜在顧客がどこの市場に存在するかを知らなければなりません。

 

そして、同じような特徴を持つ潜在顧客群を対象にマーケティング計画を立てれば、1件1件別々の潜在顧客ごとに行うよりも効率的なマーケティング・販売活動ができます。

 

そのために、市場を同じような特徴を有するグループに分けて分析します。このことを市場の細分化(セグメンテーション)と言います。消費財マーケティングでも市場の細分化の考え方がありますが、生産財では細分化する基準(切り口)が消費財とは異なります。

 

細分化の基準は、2段階で考えます。マクロ・レベルの細分化とミクロ・レベルの細分化です。マクロ・レベルでは、企業規模、地域、業種などの基準で分けます。その後、ミクロ・レベルで、企業内の購買行動(品質、価格、購買センターの構成、革新的か保守的かなど)で分けます。

 

細分化の基準は、1.測定可能であるか、2.十分な市場規模か、3.有効な戦略が打てるかを条件に決めると良いでしょう。

 

次回は、この3つの条件についてお話ししますね。




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生産財取引の特徴(15)ロジスティクス

前回は「サプライチェーンとサプライチェーン・マネジメント(SCM)」についてお話をしました。

 

今日はサプライチェーンの重要な要素であるロジスティクスについてお話しします。ロジスティクスとは、原材料から完成品までの輸送、在庫、保管、情報活動の設計・管理のことです。移動及び在庫(貯蔵)活動に重点が置かれます。

 

ジャストインタイム(必要な物を必要な時に必要な量を供給する)や即納・短納期が重視される現代では、ロジスティクスの良し悪しが、顧客によるサプライヤーの選択の決め手になることも十分あります。

 

サプライヤー企業内で効率的なロジスティクスを構築できれば、顧客は在庫を減らせるし、輸送コストの削減により製品価格も低減できます。さらに、企業間の連携がうまくいくようになると企業間の重複をなくしたり、一貫した納品・受け入れ体制ができたりとより効率が高まります。

 

サプライチェーン全体としてのロジスティクスは、サプライヤーの範囲外でしょうが、自社の前後の企業間でのロジスティクス効率化は取り組むべき課題です。




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生産財取引の特徴(14)サプライチェーン

前回は「販売センター」についてお話をしました。

 

今日はサプライチェーンについてお話しします。サプライチェーンとは、商品がエンドユーザー(消費者など)に届くまでの原材料調達から製造、物流、販売までの複数企業間の一連の流れのことです。

 

このサプライチェーンをコントロールするのが、サプライチェーン・マネジメント(SCM)です。SCMとは、最初のサプライヤーからエンドユーザーに至るまで、製品、サービス、情報の提供を通じて顧客に価値をもたらす業務プロセスを統合するものといえます。

 

SCMの機能は、外注管理、調達、製品設計、生産計画、製造、注文処理、在庫管理、材料管理、保管、物流、顧客サービスを効率的に行うことです。単なる物流だけでなく、サービス、情報も企業間を行き交いそれが相互に価値をもたらします。

 

SCMの目的は、物流・商流(取引上の流れ=受発注、所有権・金銭・情報の移転)・情報の橋渡しによって、無駄の削減、時間短縮、コスト削減、柔軟な対応にあります。そのためには、取引先との情報共有が必要になります。どこまでの情報を共有するかは互いの関係性によります。

 

関係性が深まり相互の信頼関係が高まれば、機密情報の共有が行われ、上記の目的がより高いレベルで実現できます。サプライヤー側としても顧客企業の受注状況、顧客内での自社製品の在庫状況などがわかれば、生産計画や在庫量・納期の調整が容易になります。

 

そのように、サプライチェーンの中に組み込まれれば、一連の取引の鎖のひとつとして認められたことになり、競合他社より優位な立場にあるといえます。




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生産財取引の特徴(13)販売センター

これまでは主に顧客側についてお話ししてきました。顧客側に「購買センター」という考え方があるなら、売り手側にも「販売センター」の考え方があります。「販売センター」は売り手企業の各部門(営業部門、開発・技術部門、製造部門、サービス部門、管理部門等)の部門横断的メンバーの集合体です。

 

「販売センター」の目的は、顧客情報の収集・共有とそれをもとにしたマーケティング・営業戦略の立案・実行です。「販売センター」は主要顧客ごとにチームが組まれることも多いです。営業担当者からその顧客の特定のニーズ・課題が伝えられ、必要に応じ他のメンバーが直接顧客にコンタクトして追加情報を得ます。

 

顧客を徹底的に知り関係性を深化させようとするなら、営業担当者だけが顧客と接触するのではなく、売り手の他の部門の担当も顧客と直接関係性を築くことが重要です。技術者同士が交流し、顧客の現場で自社のサービス担当が改善点や他社情報を聞き出すなど営業担当者だけでは入手できない情報を引き出すことができます。それにより顧客のニーズにすぐに対応しやすくなります。

 

このような積み重ねが顧客の信頼を得て、競合企業が知り得ない情報を入手できたり、顧客の新製品開発協力メンバーに加えられたりするようになります。こうなると顧客が自社をサプライヤーの内の1社としてではなく、パートナーとしての見方になるでしょう。


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生産財取引の特徴(12)80対20の法則

CRMによる顧客データベースが有効ですが、すべての顧客を同等に管理するのは効率的ではありません。80対20の法則(パレートの法則)の考え方でメリハリをつけましょう。80対20の法則とは、売上の80%は20%の顧客がもたらす、仕事の成果の80%は費やした時間の20%から生まれるという法則です。

 

もちろん、正確に80対20とはいかないまでも、相当にかたよりがあるというのは多くの経験則から明らかです。そこで、重要顧客は詳しいデータを入手・更新して手厚い対応をする。一方、購買頻度が低かったり、価格ばかり重視したりするような顧客に対しては基本情報の管理に留めればよいでしょう。

 

そこで、顧客の洗い出しです。多くの利益を長期的にもたらしてくれる重要顧客はどこか。売上ではなく利益を指標にした方がよいでしょう。売上が多くても利益が出ていないということがあるからです。この作業は顧客の再認識に大いに役立ちます。関係する人をなるべく参加させて検討することで共通認識が生まれます。

 

重要顧客を選定できたら、組織全体で顧客を理解しようとする意識が重要です。顧客側のすべての経営階層・部門と密接なコミュニケーションを取るためには、売り手側も営業・マーケティング部門だけでなく、経営上層部、開発・技術部門、製造部門、サービス部門なども顧客とのコミュニケーションを取ることが求められます。

 

すなわち、すべての部門の人がマーケティング(売れる仕組みづくり)を担っているとの意識を持つのです。そして、この考えの基に部門横断的な協力関係を築いていくことが、顧客の課題を解決することにつながります。


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生産財取引の特徴(11)CRM

顧客との関係性をもう少し掘り下げてみましょう。顧客側から見ると単純的取引では、規格品の購買ですから代替品の入手は容易です。そして市場は一般に供給が安定しています。

 

また、購買にかかる手続きは単純で、多くの関係者が関わることはありません。売り手との情報交換も連携することもありません。関係性が薄いので、競争は激しいです。

 

それに対して、協働的取引関係では、代替物の入手は困難で、供給先はごく限られています。買い手にとって重要な供給品であることが多く、「購買センター」には多くの関係者が関与します。

 

売り手との緊密な情報交換が行われ、買い手と売り手の連携が図られます。相互に相手を必要とする関係になるので、長期的に安定した取引関係が築けます。

 

上記でお話しした単純的取引と協働的取引が両極端で、それぞれの顧客との関係性によってこの二つの間のどこかに位置付けられます。ここで顧客関係管理CRM(Customer Relationship Management)という考え方を紹介しましょう。

 

大仰な名称ですが、近所の個人商店が顔見知りの顧客に、その人に合ったものを勧めたり情報を提供したりすることを企業レベルで行うことです。

 

個人商店なら、おやじさんの頭の中の記憶だけでことたりますが、企業間取引では顧客データベースが必要です。基本情報はもちろん、取引履歴、顧客の「購買センター」に関わる関係部署・担当者、購買方針・態度、顧客の販売先・市場、クレームとその処理、当社への要望、顧客の課題などを自社で共有できるようにデータベース化しておくと役立ちます。


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生産財取引の特徴(10)重要顧客

前回は顧客との関係を深化させて、協働的な取引関係にまで高めようというお話をしました。

 

しかし、そんなこと言っても全ての顧客を徹底的に知ろうなどというのは無理なはなしです。そこで顧客との関係にも濃淡をつける必要が出てきます。自社にとって重要な顧客(十分な利益をもたらしてくれる、自社の技術力を高めてくれる、将来にわたって信頼できるなど)で長期間の関係構築ができる企業に対して、経営資源(資金、人材、設備、技術・ノウハウ、時間)を投入しましょう。

 

つまり、顧客すべてを同じように対応するのではなく、顧客ごとに重みづけを変えようということです。それによって、重要顧客に対してはこれまで以上に深い関係、手厚い対応が可能になり、より関係が深化します。

 

顧客との関係を考える場合に、単純的取引と協働的取引を両極端にその間のどこかに位置付けます。単純的取引とは、規格品の単純な売買関係で競争力のある価格が重要視され、買い手と売り手の関係性は薄い。協働的取引は前回お話ししたように、買い手と売り手の信頼関係が強固で、双方にとって長期的なメリットの大きな関係です。

 

但し、この関係は固定したものではなく、取引状況の変化によって見直していく必要があります。この取引関係性を判断する上で、担当者同士の個人的な関係で決めてはいけません。組織対組織の関係であり、会社の体質を理解しておかないと担当者が異動したら、相手の対応が全く変わってしまったということもあり得ます。


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生産財取引の特徴(9)協働的な取引関係

前回は「購買センター」における個人の要因という考え方をご紹介しました。そこでは、企業の購買といえども、個人としての要因も意思決定に影響を与えるという話でした。

 

これまで、顧客企業の購買行動についてお話ししてきました。その意図は、顧客との関係性を強めて、顧客にロイヤルティー(ひいきにする気持ち)を高めてもらうということです。

 

そうすれば、単純な価格競争に巻き込まれず有利な取引ができます。そして顧客との信頼関係が深まれば、競合企業が知り得ない内部情報をつかみ、より顧客に適した提案をすることができ競合他社より有利になります。そのため、持続的取引関係の構築が可能になります。

 

持続的取引関係ができるようになると、取引コストも下がります。相手の状況をよく知っているので、商談はスピーディーになり、開発や製造も要領が分かるので失敗や手直しが少なくなります。そのため、営業コスト、開発・製造コストを低く抑えられるので、競合企業に対し価格競争力が高まり、利益も上がります。

 

この関係がスパイラル的に強化されてくると、協働的な取引関係になります。協働的な取引関係とは非常に緊密な情報交換ができ、事業上の提携関係、新製品の共同開発などに発展していく取引関係です。

 

ここまで関係が深化すると、他社の方が少々価格が安いから乗り換えようとは簡単にはしなくなります。さらに、今回のコロナウィルスによる景気悪化での取引先選別が起こっても、切られることはなくなります。顧客を徹底的に知ろうという意識を持って、顧客を観察し対応していけば、顧客から「なくてはならない取引先」として、上下関係ではないパートナーという関係構築ができていきます。


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生産財取引の特徴(8)購買行動・個人の要因

前回は顧客企業の内部の「購買センター」という考え方をご紹介しました。そこでは、企業という組織の目的、「購買センター」に関与する部署の要望が購買の意思決定に大きく関わるという話でした。

 

実は、その次の段階でもう一つ意思決定に関わることがあります。それは、「購買センター」の各メンバー個人の要因です。購買を決定するのはあくまで個人としての人間であって、組織ではないからです。

 

生産財取引は組織による購買ですから、かなり合理的な意思決定が行われますが、個人の裁量がないわけではありません。各メンバーそれぞれ性格、経験、役割、目標に対する考え方、情報量が異なります。

 

すなわち、組織の目的、意思決定が関与する部署の要望が一定程度満たされた上で、個人としての要因も意思決定に影響を与えます。製品に対する理解度、過去の購買に対する満足度なども製品・サービスの評価基準に関わります。

 

そのため、販売側とすれば「購買センター」の主要メンバーの判断基準を知ることが極めて重要です。それには顧客を徹底的に知ろうという意識を持つことです。その強さで、顧客が発する重要なシグナルをキャッチできるかどうかが決まります。




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生産財取引の特徴(7)購買行動・購買センターの要因

顧客企業の内部環境分析で大切なのが「購買センター」という考え方です。一般に顧客のサプライヤーに対する窓口は、購買部門や調達部門と呼ばれる部署です。

 

生産財取引は組織に対する販売活動であるということをお話ししてきました。「購買センター」は組織図に載るような正式なものではありません。購買の意思決定には様々な部署の担当が関わってきます。「購買センター」は購買意思決定に関わる人々の集団のことです。単純な購買を除いては、決して購買部門の担当者だけで決定するのではありません。

 

それぞれの部門には異なる要望があります。購買するモノやサービスによっても、関与度は変わってきます。例えば、部品の購買では開発部門や生産部門の関与度が高く、それらの部署の要望も尊重されます。

 

サプライヤー側としては、組織全体の課題解決という要求を満たした上で、「購買センター」の構成員の役割を見極める必要があります。「購買センター」の構成員は、購買対象によって流動的ですから、どの部署が関係していて何を重視するのかをつかみましょう。

 

そして、顧客の購買プロセスの段階によっても「購買センター」の構成員や重点ポイントが変化します。例えば、初期段階では技術的課題が重視され、最終段階ではコストにも焦点が当てられる等です。

 

次回も内部環境のつづきについてお話しますね。




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生産財取引の特徴(6)購買行動・組織の要因

顧客企業の内部環境分析では、その顧客の業界内でのポジショニングとどのような事業展開をしているのかを知りたいところです。そのため、自社と取引がなくても自社の顧客の競合企業はどんな企業があって、どんな事業展開をしているのかを調べ顧客企業と比較することは販売活動に大いに影響します。

 

例えば、顧客がその競合企業に対して汎用的な製品を大量販売する戦略を取るとします。それなら、サプライヤー(今後顧客側から見た自社を指す呼び方)に対して低価格での取引を要求する可能性が高いでしょう。

 

それに対して、技術的優位性や機能的な特徴を差別化として押し出す戦略の場合はどうでしょう。サプライヤーに対しても高い技術力・開発力・品質を求めてくるのではないでしょうか。

 

もちろん、どういう戦略を取っても、価格・技術力・品質などは要求仕様には含まれます。しかし、顧客が何を重視するのかが分かっていれば、サプライヤー側としての重点ポイントとPRポイントが顧客の要望に沿って明確になる上、仕様を上回る価値提案もできるのです。

 

この視点は取引しようとする顧客を選択することにも役立ちます。自社の方針と合致するような顧客であればスムーズなビジネスが展開できます。しかし、反対の考え方を取る顧客との取引では、要求を満たすのに苦労したり、クレーム対応に追われたりします。

 

 

次回は内部環境のつづきについてお話しますね。



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生産財取引の特徴(5)購買行動・環境の要因

顧客企業が認識している課題を把握するには、顧客企業を知らなければなりません。顧客企業を知るためにはどこから手をつけたら良いでしょうか。まず大枠で捉えて、顧客の外部環境と内部環境調査に分けます。

 

外部環境とは、その顧客企業を取り巻く経済状況、規制、市場環境、技術動向などです。景気動向などで、とりわけその業界に与える影響はどんなものがあるか。業界に関係する規制の強化や緩和、政府の政策。市場はどういう方向に向かっているのか。顧客の競合はどういう動きをしているのか。技術革新の動向はどうなのか、などを調査します。

 

生産財のサプライチェーン(原材料から製品になって販売に至るまでの流れ)をたどっていくと、最終の顧客は消費者になることがほとんどです。そのため、直接の顧客企業が消費財の製造ではなくても、その先をたどれば、それに関連する消費財の需要動向が大いに影響してきます。

 

次回は内部環境についてお話しますね。



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生産財取引の特徴(4)企業の課題解決

企業が生産財を購買する場合は明確な目的があります。その企業で認識された課題を解決するためです。課題の解決というと大げさのようですが、広く捉えるといろいろなレベルがあります。書類業務に使う文房具の調達から、製品製造のための原材料購入や工場建設など広義の課題解決です。

 

企業という組織では、あるひとつのものの購入検討する場合に、課題はひとつとは限りません。例えば、自社製品に組み込む部品の購入の検討では、要求仕様を満たすこと、品質が一定レベル以上のこと、納期が守れること、継続的な納入が保証されること、予算内の価格であること、というように複数あるのが普通です。

 

売り手企業は顧客企業のこうした課題に対して、自社の製品やサービスでどう解決できるかという提案をする必要があります。そのための第一歩が顧客が認識している課題を正確に把握するということです。

 

次回はもう少しこの話のつづきをしますね。



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生産財取引の特徴(3)購買目的

生産財取引の大きな特徴は組織による購買というお話をしました。では、組織による購買の特徴はどんなことでしょうか。組織といっても営利企業のようなものと官公庁のようなものがありますが、これから先では企業を前提として話を進めます。

 

個人が何かを買うときは、必ずしも目的を持って買うわけではありませんよね。何気なく入ったお店で「かわいい」「素敵」という商品に目が止まって思わず買ってしまったという経験は誰しもあると思います。もともと全く買う予定がなかったにもかかわらずです。

 

企業による購買ではこのような衝動買いは基本的にはありません。業績を上げるため、企業の目標を達成するためという明確な目的があって購買します。

例えば、製品を作るための材料・部品として、製品を効率的に作るため製造設備やIoT化、業務の合理化のための事務機器やコア業務以外のアウトソーシングなどです。

 

これらは大きな目的ですが、売り手が考えなければならないことは、これを深掘りした買い手それぞれの購買目的(ニーズ)です。

次回はもう少しこの話のつづきをしますね。



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生産財取引の特徴(2)組織の複数関係者

前回は同じものでも消費財取引になったり生産財取引になったりするというお話をしました。モノで区別するのではなく、取引の特徴で区別するのです。

第2回のときに消費財と生産財の特徴を簡単に紹介しましたが、もう少し掘り下げてお話しします。

 

購買者が消費財取引では個人、生産財取引では企業や官公庁という組織であるという違いがあります。組織の購買行動の大きな特徴は、購買に携わる関係者が複数部門の複数の人から成るということです。

 

複数部門の複数の人が関係するということは、企業や組織の利益を上げたり事業目的を果たしたりすることは前提としながら、各部門や人により何を重視するかの思惑が異なります。直接の商談相手の買い手企業の調達・購買部門の意向だけで決まるわけではないのです。

 

次回はもう少しこの話のつづきをしますね。



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生産財取引の特徴(1)組織による購買

消費財取引が個人を対象にすることに対して、生産財取引の最も大きな特徴は、顧客が企業や官公庁などの組織だということです。

 

そして生産財というと、原材料や部品というように思われがちです。しかし、例えば携帯電話(スマホ)は一般に消費財と考えられますが、企業が購入する場合は生産財として扱います。

 

なぜなら、同じ携帯電話でも個人で購入するのと企業で購入するのでは、購買目的や購買プロセスが全く違うからです。

 

個人の場合は、友達や家族とコミュニケーションを取りたい、SNSで情報発信したい等の欲求が強いでしょう。一方、企業の場合はビジネスとして、顧客との連絡や社内の情報共有などにより、利益を上げたり事業目的を果たしたりするためのツールとして購入するのです。

 

次回はもう少しこの話のつづきをしますね。



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生産財マーケティングを知るメリット

こんにちは。生産財マーケティング協会の豊田賢治です。今日から生産財マーケティングのお話をしていきたいと思います。新型コロナウイルスの影響の中で今、なぜ生産財マーケティングなのかと思われるかもしれません。

 

だいぶ前のような気がしてしまいますが、2000年1月に中国でコロナの影響で工場閉鎖が起きて、中国製の部品などが日本に入らなくなりました。その結果日本での生産に支障が出ました。そこで、中国依存のサプライチェーン(供給連鎖:原材料の調達、部品製造、製品組立、物流、販売までの一連の流れ)を見直そうとの機運が高まりました。

 

今後、多くの企業でサプライチェーン見直しが行われるでしょう。その時には中国だけでなく。既存の供給先も含めて検討の対象になる可能性も高いです。

 

長年部品や材料を購入してくれる取引先があっても、リスク対策上、コロナ終息後にも取引継続できるという保証は必ずしもないと考えた方がよいのです。

 

生産財マーケティングを知ることのメリットは

・取引先との関係を強化していく方法を知って自社の事業を守ること

・効果的な新規顧客開拓の方法を知って事業を発展させること

・顧客のニーズを知り製品開発の効率が向上すること

などです。

そのための対策を今考えておき、現在すべきことと、将来すべきことができる体制を整えましょう。

 

何か堅苦しそうに思われるかもしれませんが、次回から分かりやすくかみ砕いてお伝えしていきますので楽しみにしてくださいね。



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